2019年6月7日金曜日

The Novarupta-Katmai Eruption of 1912—Largest Eruption of the Twentieth Century

 AVOFBで“Valley of Ten Thousand Smokes and the 1912 Novarupta-Katmai Eruption”と題する小文が紹介されていましたが、“Novarupta”火山の名前に聞き覚えの無い方にも、“ Vally of ten The Ten Thousand Smokes:VTTS ”と云う名前には心当たりが有るのではないでしょうか?この20世紀最大の火山噴火と言われる“ Novarupta-Katmai”噴火は1912年6月6日に始まり、 60 時間に亘り噴火を続け、噴火の規模では、1815 年の“ Tambora”火山に次ぐ規模ですが、20世紀では最大の噴火と言われています。それからまだ107年しか経過していません。
 この谷は噴火後4年を経過した1916年に“ Griggs”により発見され、当時でも噴気の高さが少なくとも 150 m 以上立ち昇って居ると思われるものが、1,000 以上あると推定しこの名前が付けられたと言われます。凝灰岩内に蓄えられた熱エネルギーは長年に亘り維持され、1918年には190℃を越える噴気を維持している噴気孔が 86 ヶ所確認され、最高温度は 432 ℃を記録。翌 1919 年には、200 ℃を越えるものが 54 噴気孔に登り、その内の11カ所では 400 - 645 ℃が測定されています。噴気の主成分は水蒸気でしたが、塩素、フッ素、硫黄等が検出されています。
 尚、カトマイ火山のカルデラは、当初はこの“VTTS”の噴出源と考えられていましたが、“Novarupta”の噴火により“Katmai”火山のマグマが引き抜かれ(drained)た為に陥没したと言われ、現在は直径約 3 km, 深さ 600 m のカルデラが形成されています。
この火山に関しては沢山の研究書が公刊されている様ですが、USGS が 2012 年に公刊した下記の研究者向け文献から幾つかの画像を抜粋引用してご紹介します。
The Novarupta-Katmai Eruption of 1912—Largest Eruption of the Twentieth Century: Centennial Perspectives ( 36.5 MB, 178頁,本文は 244頁 )
著者:Wes Hildreth and Judy Fierstein,USGS
https://pubs.usgs.gov/pp/1791/pp1791.pdf
GVP のこの火山と参照火山に関するサイトアドレス
Tambora   http://volcano.si.edu/volcano.cfm?vn=264040
Pinatubo  http://volcano.si.edu/volcano.cfm?vn=273083
Griggs      http://volcano.si.edu/volcano.cfm?vn=312190
Katmai      http://volcano.si.edu/volcano.cfm?vn=312170
Novarupta  http://volcano.si.edu/volcano.cfm?vn=312180
Fernandina http://volcano.si.edu/volcano.cfm?vn=353010

A:1917年撮影。B:1982年撮影

火山から風下 170 km 地点の“Kodiak”村の1912年の噴火終了時期の画像。三回の噴火で堆積した火山灰の厚さは 25-30 cm

カルデラ崩壊時の地震放出エネルギー,1912年の“Katomai”,1991年の“Pinatubo”(フィリッピン),1968年の“Fernandina”(エクアドル・ガラバゴス諸島)。これらのエネルギーの計算には日本人科学者の研究成果が使われている。

火山の位置図と噴火後数日以内に降灰が観測された地域

噴火口から北西に 20 km 離れた VTTS のパノラマ画像。谷の表面は、1~2°の傾斜。右上の“Mount Griggs”は、標高 2,330 m の安山岩質火山で氷河期後に噴火。

1912年噴火の際に放出された代表的岩塊:非晶質流紋岩・結晶質デイサイト・結晶質アンデサイト・溶結凝灰岩

北東に4km離れたナイフクリーク上流のエピソードIIとIIIの軽石落下堆積物。地質学者の頭のすぐ上にあるC層には、下位の流紋岩質の軽石が含まれていますが、残りの 12 m の降下堆積物は 99  % がデイサイトです。

Novarupta流紋岩ドームは、幅380メートル、高さ65 mで、右側には軽石に覆われたベイクドマウンテン、左側にはフォーリングマウンテンの北部が見えます。

“ovarupta”から 15 km の地点。1 - 10 cm の薄い層が幾重にも重なる堆積層の状態。露頭の高さはおよそ 8 m。背景はカトリーナ山.

“ Vally of ten The Ten Thousand Smokes:VTTS ”を構成する噴気孔の断面形状例。(左図)漏斗状開口部の口径はおよそ 2 m。噴気孔の表面には不規則な亀裂が発達し、小さな噴石が集中し、細粒分は吹き飛ばされて残って居ない。(右図)部分的な赤い酸化層と白色部の対比が美しい。
以上

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