2018年10月24日水曜日

こないだ拾った緑色凝灰岩

先日、FW中に在る神社境内の外れに在るガラ捨て場のコンクリート片に混じって緑色凝灰岩の、子供の握りこぶし程度の大きさの奴が、泥まみれの姿のままに「私を何処かに連れてって!」と訴えているのに気付いた。
各地を巡りながらも、なかなかサンプルに出来る様な岩塊は簡単には手に入らない。適当な大きさのものはそれなりに風化していて、薄いサンプルを切り出そうとするとばらばらになって消滅するのが殆どだ。大きなものは重いし、現場でハンマーを振るう事も出来ないので、幾つかの種類の岩石サンプルが欲しいと持っても簡単では無い。
何せ、泥だらけで本当に私が欲しいと思っている種類なのか、判らない程汚れているのに、私に呼び掛ける念は強烈だった。今日は、しつこい汚れを超音波洗浄も含めて磨き上げ、 6 mm 厚に切断し、両面を研磨したものを顕微鏡観察したのでご紹介します。勿論、私の狙い通りの石材でした。

外観は神社の奉納額の様な物の一部と考えられる。形状から額の左上の一部であろう。

断面を見る事になる。スケールのある方が表側になる。ふっくらとした額縁の曲線が心地良い。

厚さが 6 mm 程度になるよう小型切断器のバイスを調整。#1,000 と#1,500 でサット研磨したが少し手抜き過ぎたらしく後の画像で判るが少し表面が凸凹だった。この程度の厚さで切断出来ないと、とても研磨工程には進めない。

小豆色の小さな塊の左側に、粒子が粗い部分が縦に通っている。これがこの手の緑色凝灰岩の特徴で、私は分類に「砂礫サイズの粒状凝灰質や火山岩片を含み、粒径差により顕著なラミナを示す緑色凝灰岩。少量の小豆色火山岩片を含む。」と規定している。

この種の伊豆の緑色凝灰岩の中でも、今回採取した凝灰岩は千葉や埼玉では現存率が二番目に高いものですが、その判別用に使っているのが小豆色の火山岩片が含まれている事。その小豆色の粒を拡大するとこの様に白い長石の結晶が見えます。画像の横幅は 4 mm です。

今回の緑色凝灰岩は白い斑点が目立ったので、常備薬の希塩酸を少したらすと、盛大にでは有りませんが小さな泡がごく限られた狭い範囲から出て来るので、石灰質はかなり含まれている様です。でも、中にはこの図の様に斜長石がガサガサになったものも観察されるので、白いからと云って石灰質とは限らない様です。この図は、画面の横幅が 2 mm です。

典型的な「緑色」要素ですね。火山灰の変質したものです。濃淡の模様が小さく曲がっているので、火山ガラスが粘土化して緑泥石が出来ているのでしょうか?画面の横幅は 4 mm です

これも火山灰由来なのでしょう。中に沢山長石(大部分は斜長石だと思うけど)が含まれています。画面の横幅は 4 mm です

大きな(長編が 4 mm 以上の)火山灰の塊です。固結度が低いので、研磨の際の砥粒との摩擦でこの様に脱落して隙間になります。研磨が雑だったのでまだ表面の粗度が粗く、研磨の砥粒が食い込んで残っています。この画面の横幅は 4 mm です

細粒の部分の顕微鏡画像です。細粒の部分と粗粒の部分では粒の大きさが全く違いますね。この粒子サイズの違いで堆積時の「ラミナ」が造られています。

最後の画像は、別の緑色凝灰岩です。これは中に含まれている「礫」の形状が角張っています。これはかなり硬く、石垣を積む際の四角錐の形状の「間知石」の端材です。表面の一部を研磨しています。同じ様な緑色凝灰岩でも実に多種多様です。

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