2018年5月10日木曜日

GVP 火山活動情報の概要:5月2日⇒8日;17火山

これはスミソニアン博物館のGVPにより毎週公開される火山活動情報の概要を抄訳してご紹介するものです。原文は下記に在り、毎週木曜日の午前7時に更新されています。
http://volcano.si.edu/reports_weekly.cfm

New Activity/Unrest
Ibu  | Halmahera (Indonesia)  | 268030 | Elevation 1325 m
5月5日0622時に噴火により火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 600 m まで上昇しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。北側の 3.5 km とそれ以外の半径 2 km 以内は立ち入り禁止

Karymsky  | Eastern Kamchatka (Russia)  |  | Elevation 1513 m
4月28日と5月2-3日に爆発的噴火により生じた火山灰を含む噴煙が、高度 5.5 km まで上昇しました。微弱な熱異常が5月3日に観測されています。航空カラーコード「オレンジ」

Kilauea  | Hawaiian Islands (USA)  | 332010 | Elevation 1222 m
⇒非常に長文なのですが、既にFBでは逐次割れ目火口の開口状態等を御案内しているので恐縮ですが大部分を省略させて頂き、代わりに、ハワイ時間で8日午前8時に“HVO”から重要なアナウンスが流れていますので、これを御案内します。
Issued: Wednesday, May 9, 2018, 8:02 AM HST
“Kīlauea”山頂火口の“ Halema‘uma‘u”内の"Overlook crater" の溶岩湖のレベルが継続的に低下し続けていますが、これにより近い内に爆発的噴火が生じるポテンシャルが高まっています。溶岩湖のレベルがキラウエアカルデラの地下水位以下に下がってしまうと、地下水流れが火道内に流れ込む可能性が有り、水蒸気爆発を引き起こす可能性が有ります。この爆発により火砕物がキラウエア火山の山頂から“ Halema‘uma‘u”周辺に飛散し被害をもたらす可能性が有ります。現時点では、確実に爆発的噴火が起こか、どれほどその爆発が大きなものか、どれだけの期間に亘って継続するのか申し上げられません。山頂付近の住民は降灰の危険について学び、塀さ区域に関する情報に注意して下さい。
Blogの皆様は恐縮ですが、ハワイ火山観測所の下記ウエブサイトをご覧下さい。割れ目火口の開口状態の推移等を示す地図や画像、動画などがあります。
画像と動画:Photo & Video Chronology
https://volcanoes.usgs.gov/volcanoes/kilauea/multimedia_chronology.html
地図:Maps 割れ目火口の開口順等
https://volcanoes.usgs.gov/volcanoes/kilauea/multimedia_maps.html

4月23日から5月5日の間に、山頂火口の火口底は約 10 cm 沈下しました。この沈下傾向に伴い、4月30日には“Overlook”火口の溶岩レベルは火口縁から 128 m 下まで低下しました。5月4-5日にはM6.9の地震に呼応して、M2-3の地震が152回記録されました。5月5日には火口壁の崩壊による岩片の落下により、火山灰を含む噴煙が上がりました。・・・割れ目火口“7”からの溶岩流は北東に 260 m まで広がり、溶岩湖のレベルは引き続き低下し続けています。・・・報道に拠れば溶岩は既に 36,000平方メートルを覆い尽くしたとされています。・・・5月8日の0700頃には、リフトゾーンの噴火は停止しました。割れ目火口列はおよそ 4 km の長さで、相変わらず大量の火山ガスを噴出しています。5月8日、市長はこれまでに35の家屋が破壊されたと公表しています。
(現地時間5月9日0827時の落石による噴煙)
Image courtesy of HVO/USGS 。画像圧縮済


Marapi  | Indonesia  | 261140 | Elevation 2885 m
5月2日0703時に濃密な灰色の火山灰を含む噴煙を火口縁の上空 4 km まで上昇させました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。山頂から半径 3 km 以内は立ち入り禁止。

Osorno  | Chile  | 358010 | Elevation 2659 m
4月中に、徐々に地震の強さと発生数が増加しているので、5月8日に警戒レベルを「イエロー」に引き上げました。地震発生は主に北西側山腹に集中しています。観測された294の地震の中で最大のものは“M3”で火口から北西に 2 km の地点で、深さ 3.3 km に震源がありました。
⇒初出:GVPのこの火山に関する情報は下記。余りデータは有りませんが、1869年に噴火が記録されています。
http://volcano.si.edu/volcano.cfm?vn=358010

Piton de la Fournaise | Reunion Island (France)  | 233020 | Elevation 2632 m
4月27日に“Rivals Crater”の割れ目火口から噴火が始まり、5月8日まで継続しています。5月3日の野外調査で中央の火口からのスパッターの発生を確認しています。中央火口からの溶岩チューブはしばしば破裂します。中央火口は5月6日に閉鎖されました。7日に赤熱が観測されました。

同じカメラの昼間の状態


Ongoing Activity
Aira 桜島 | Kyushu (Japan)  | 282080 | Elevation 1117 m
⇒気象庁のサイトを参照下さい。火山灰を含む噴煙は火口縁の上空 2.8 km まで上昇しています。

Bagana  | Bougainville (Papua New Guinea)  | 255020 | Elevation 1855 m
5月8日、火山灰を含む噴煙が高度 2.1 km まで上昇しました。

Cleveland  | Chuginadak Island (USA)  | 311240 | Elevation 1730 m
5月4日2149時に弱い噴火が地震と空振から観測されました。噴火により生じた火山灰を含む噴煙は、高度 6.7 km まで上昇しました。航空カラーコードは「オレンジ」に引き上げられましたが、他に特段の活動が見られないので6日に「イエロー」に引き下げられました。

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 | Elevation 1229 m
5月2-8日の間、火山灰を含む噴煙が高度 1.5-3 km に達しました。

Ebeko  | Paramushir Island (Russia)  | 290380 | Elevation 1103 m
5月1-3日の間、噴火により火山灰を含む噴煙が高度 2.8 km に達した事が観測されましたが、航空カラーコードは「オレンジ」を維持しています。

Klyuchevskoy  | Central Kamchatka (Russia)  | 300260 | Elevation 4754 m
5月8日1150時に火山灰を含む噴煙が高度 5-5.5 km まで上昇しました。航空カラーコードは「オレンジ」に引き上げられました。

Pacaya  | Guatemala  | 342110 | Elevation 2569 m
5月1-2日にストロンボリ式噴火が発生し、噴石は火口縁より 50 m 上空まで放出されました。500 m に達する溶岩流は北西に向かっています。夜間には火映が観測されます。4日には活動は活発化し、爆発により噴石は 80 m 以上まで噴出しました。溶岩流も流下し続け 600 m に達しました。ストロンボリ式噴火では噴石は火口縁の上空 15 mまで吹き上がり、夜間には火映が変わらず観測されます。

Sabancaya  | Peru  | 354006 | Elevation 5960 m
前の週に比べて活動は活発化し、4月30日から5月6日の間は連日25回の爆発が生じています。火山ガスと火山灰を含む噴煙は火口縁の上空 2 km まで上昇し5月6日の観測に拠れば、亜硫酸ガスの放出量は日量で 2,662 トンに達しています。半径 12 km 以内は立ち入り禁止。

Santa Maria  | Guatemala  | 342030 | Elevation 3745 m
5月の1-2日と5-6日に“ Santiaguito”溶岩ドームでは地震活動を観測し、生じた火山灰を含む噴煙は 600-700 m 上昇し、岩屑雪崩が溶岩ドームの南東側山腹を下りました。

Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  | 300270 | Elevation 3283 m
4月28、30日と5月2日に弱い熱異常が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」が維持されています。

Suwanosejima 諏訪之瀬島 | Ryukyu Islands (Japan)  | 282030 | Elevation 796 m
5月2日と4日に爆発が観測されています。
以上
FBでご紹介するライブカメラ等の画像は以下の通り
“Ambrym/Benbow & Marum volcano”,

“Fuego”,

“Stromboli(2)”,

昼間のストロンボリ式噴火は黒煙だけが見えます。

“大雪山(特に異常が生じていない火山も通常の噴気状態の確認用に配信しています)”,

“霧島山系新燃岳”,

“霧島山系硫黄山(2)”です。

水蒸気の噴煙が右上の方角に高くまで上昇しています。この直後に風向きが変わり、上昇していた噴気は消えました!

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