2021年5月8日土曜日

石材の旅:042021-07:井内石とスレート・石巻市蛤浜

所在地:石巻市桃浦蛤浜;

国土地理院地図座標:38.402275,141.410402

JR仙石線渡波駅から:約 5.3 km:バスは多分一日 6 往復

今日の表題には「凝灰岩質」と言う単語が付かない。石巻付近は、塩釜石や野蒜石・川下石等と云う凝灰岩質石材が大量に産出していたので何度か通って建物を始めとする石造物を調査していた。

その内に、神社で石碑に良く見る事の多い井内石(稲井石・仙台石)がこの石巻の産出だと判って、博物館の地学科主任研究員にご教示を頂きながら産出状態や千葉を中心とするこの石材を用いた石碑類の分布を訪ねていた。余りのこの石材を用いた石碑の多さに、調査と記録に多くの時間を割かなければならず(写真・採寸・表題と碑文の確認・造立時期の確認・礎石の材質等)、凝灰岩の調査が進まなくなった(神社で井内石の方が必ず件数が多い)ので 3年で諦めた。

過日、NHKの「ブラタモリ」で東京駅のテーマだったが、屋根材の「雄勝石」が話題になったので、雄勝石の産地では無いがこの「蛤浜」を思い出した。

※ 気付いたら随分長期間に亘って更新を怠っていた。76歳の後期高齢者は閑だと思われがちだが、これが意外と忙しい商売で、週に二日は今でも働いてフイールドワークの交通費等の飛翔を稼がないと小企業を定年退職した輩では年金だけではとても趣味の世界の鐘の出所が無いし、フィールドワークに出れば、観察記録を作らなければならないし、年に一度は博物館に報告書を提出するし、・・・

地図の右下の赤い丸がバスが一日に6往復する蛤浜の位置。青い丸は石巻市内で観察したポイントの一部。蛤浜はこの近くの「風越峠」の井内石の露頭(地質図幅「石巻」:26頁:第14図 伊里前層の砂質葉理粘板岩)を観たいと思って行ったのだが、残念ながら2011年以来通行止めになっていて、途中まで無断侵入したのだが途中でリタイアし、鮎川側に下ってバスが来るまでの時間を過ごしたのが最初でその後何度か通う事になった場所。
海岸の写真は、浜の井内石の平たい礫の堆積する状態の画像。この浜では住んでいた方々の殆どが犠牲になられた。海岸近くにはかって家屋であった場所に礎石が残っている。
海岸で採取した井内石の平たい礫の例。この頃、博物館の先生が「石ころ博士入門」を数年がかりで書いて居られていたので、サンプルや撮影候補地のお手伝いをさせて頂いていた。
海岸で観察していると、薄い四角形に近い板状の岩石に二か所小さな穴が開いているものが有る事に築いたのだが、この時は「雄勝石:スレート」の事が頭には浮かんでこなかった。
後で判った事だが、海岸付近に建てられていた家屋の中にこのスレートを使っていたものらしい。
これもスレートとして使われていた石材らしい。美しい
井内石の堆積模様。白い部分は砂勝ちの地層。時に大粒の砂を見掛ける事も有る。
井内石のこれは「生痕化石」小さな底生生物が這い回った跡らしい。石碑の面では結構生痕化石を観察する事が出来る。
井内石は細かな堆積模様のものが多いのだが、海岸の転石にはこの様に単一層でも分厚い事が有る。
石垣に積まれた井内石は筑波の泥質片岩と顔が似ている部分が有る。これを石材として房総に持ってこられたら見分けが付き難いだろうと思う。
この場所では無いが石巻市内のの採掘業者のオジサンが私が千葉から来たと云うと、千葉には随分儲けさせて貰ったと笑顔で言って、私が採石跡の瓦礫の中に入っている間、ずっと見守って下さった。千葉県は埼玉などに比べると実は井内石の石碑が格段に多い地域である。儲かったのだろうと思う!!
前の画像の石垣を少し離れてみると、コーヒーが美味しい「はまぐり堂」さんの建物が見える。食事も美味しそうだったが私は行動時には食事が不規則になるので、常に携行するので此処では機会が無かった。安らぐ場所でしたよ。

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