2019年4月5日金曜日

美しい結晶片岩だと思ったら、強せん断を受けた蛇紋岩らしい岩片

先日、幸手市内でのフィールドワーク中に、何時もの様に、例えその目的地に凝灰岩質石材を使ったものが見付からなくても、必ず敷地内を歩いて、境内に点在する岩塊の中に凝灰岩の破片が無いかチェックしていたら、隣接した寺院で庭石に使う為に運んで来たらしい美しい緑色の透明感の有る結晶片岩の様な大きな岩塊を見付けた。余りに美しいので欠片でも欲しいなと思い探したのだが、残念な事に全く同じものの小片は見付からない。
少し、色が異なるが小さな断片を見付けたので持ち帰り、今日博物館で観察用に小さく切断した。数が多いのは、仲間達にも見てもらう為である。てっきり、結晶片岩と思ったのだが、顕微鏡で見ると少しばかり組織が違う。6 mm 程度の厚さの中で、半分はせん断を受けて結晶片岩の様に層状を示すのだが、残り半分は不思議な鉄錆色の模様が走っている。どうやら、秩父辺りの蛇紋岩が激しいせん断を受けて結晶片岩の様な外観を示しているらしいと結論付けたのだが、さて、真相はどうなのだろう?岩石の名前を目視観察だけで推察するのは本当に難しい事ですね。
時間が無くて端面の研磨が出来なかったので精密切断機のカッティングマークが斜めに走っているのは御容赦下さい。

現地で特に美しかった大きな石の片隅を太陽光の下でその一部分を接写してみた

破断面の接写拡大

今日、切断し超音波洗浄したあとの試料。右の方に断面が出ているが、緑色の美しい部分が一筋見えている。他の部分はやや色が黒い。尚、時間の都合で精密切断だけで切断面の研磨は行わなかった。以下の拡大画像の中でカッティングマークが斜めに走っているのは御容赦下さい。今日は別の目的で博物館に行ったのです。

実体顕微鏡で表面を観察してみたもの。これを見てヤバイ!と思ってしまった。秩父の親鼻橋だったか、あの辺の蛇紋岩露頭の、滑石とダナイトの接触面に似ている

厚み全体の画像

これも厚み全体の拡大図。半分で構造が異なっている事が茶褐色の模様が途切れている事でお判り頂けるかと・・・

緑の美しい部分とその直下の層は、結晶片岩のものと少し似ていると思うが「白い部分」が極端に少ないようだ。

茶褐色の亀裂の充填物の様な部分が途中で途切れてしまう様子を拡大して三田。精密切断機のカッティングマークが斜めに走っているのは御容赦下さい。

0 件のコメント: