2017年4月15日土曜日

銚子砂岩の風景(9) 川口町から清水坂下へ:砂岩だけでは無い銚子

最初の画像は、今回ご紹介する予定の四か所の位置関係を示しています。

「岩石公園」は、利根川河口の安全の為に設置した防波堤の建設や、漁業施設の為の埋め立てで失われた「古銅輝石安山岩」の記憶を残す設置されたもので、石材と露頭の一部が移設されています。周辺には、駐車するスペースが無いのでやや不便ですが、周辺道路は漁業関係の大型トラックが走行するので「ちょっと」の時間でも駐車しない様にお願いします。雑草が生い茂る中に比較的大きな「銚子古銅輝石安山岩」と刻まれた石材と露頭がありあります。(最近立ち寄ったら草刈りされていました)

石材の表面を接写したものですが、9年前に撮影したもので写りがあまり良く無くて申し訳ありません。


 「川口神社」は歴史の古い神社で長い銚子石で築かれた石段の階段が名物のようなものですが、此処では参道の途中で少々不思議な灯篭を見る事が出来ます。石材は恐らくは新小松石ではないかと想像していますが、塩害風化で軟らかい部分が削られています。
火袋の下の軸部を拡大したのが下図です。湿気が多いのか真っ白に苔でも生えているのでしょうか? 石材の調査をやっているので風化した岩石の表面には特に興味が有りますが、こんなのは初めてです。



神社の土台石に使われている切石で、これはどうやら「伊豆軟石:石灰質凝灰質砂岩」です。主として江戸時代から明治に建設或いは改修された、千葉や埼玉等の神社や宿場町の商家の土台石に使われている石材です。伊豆下田で石切り場や建築物でこの石材に出会ったのはこの後でしたから、完全に失念していました。近い内にもう一度行って再確認したいと思っています。⇒再訪し確認して来ました。間違いありません。


 案内図の上から三番目は「西廣」さんです。ここは、紀州から移住してこられた銚子漁業の重鎮です。但し、普段は公開していないので100年の歴史をもつ「納屋」の横を通りながら観察する手をご案内します。「西廣」さんの南に植生を示す緑色の細い部分がありますが、その北端を目指します。小さな御社の或る西宮神社を含む小さな公園があります。ここの北側の石垣も変わっていて、大きな玉石の破断面が表に出る様に石垣を組んでいます。この様な断面を観察するのもなかなか面白いものです。



この公園の北端から北を観るとこのような風景です。西廣さんの100年を超える納屋です。邸内から見ると二棟並んでいます。これは瓦の調査の際にお世話になり撮影させて頂いたものです。納屋の前の石垣も銚子石です。



フェンスの外側を北に抜ける途中に、少し遠いですが木造の建物が見える筈です。これは木造の旧缶詰工場の建物です。

 永くなりましたので清水坂下の海静寺さんで観察される石材や古瓦については次回に致します。 外川の街並みやこの西廣さんの建築物は江戸に隣接し、関東平野と漁場の太平洋を背景に利根川の舟運により江戸に東国の物産を供給し、江戸のくらしや経済を支えた貴重な歴史を記録するものだと考えます。

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