2015年5月25日月曜日

鎌倉石 (19) 鎌倉湖畔の石切場跡

今泉産の石材は藤沢市内でも数多く使われているらしのだが、実はその産出地が意外と判らない。一つには、石切場が地主からの借地で賄われているので、借地料が値上げされたら其処での石切を辞めなければならないという事情も有ったのかもしれない。
更に、地図を観ていると今泉は多くの大規模宅地開発が行われているので、遺構が既に消滅してしまっている事も在るのだろう。
資料整理の為に地理院のグリッドを使っていると、実に数多くの大規模住宅団地が造成されているのが判る。鎌倉湖(散在ヶ池)周辺は個人の私有地を提供して公園として整備されて運営されているのだが、此処に「石切場跡」と書かれた場所があるので訪ねてみた。
最初はバス停付近で見掛けたこの付近の地層露頭。充分に硬い地層のようだ。

 管理事務所から山側の散策路を通り南口に向かう途中の岩タバコが生える崖の様子。傾斜があるので違うかもしれないが角がきっちりと直角に切られているので或は石切場跡かもしれない。
 地山の状況が緑の苔に覆われて全く判らないので、散策路の目立たない場所を少しクリーニングして地山の状況を確認させて頂いた。横幅は9cm。目立たないので誰もクリーニングの後には気付かないと思うのでご勘弁を!
「散在ヶ石の採石跡」とされる崖の様子。砂泥互層だが泥岩と砂岩の強度が違い過ぎて差別浸食を受けており石切にはやや難がある様に思えるが崖に直接取りつくには手前の斜面の傾斜がきつくて仔細に調べる事無く、望遠レンズで痕跡を探すに留めてしまった。
 砂岩の部分にカッティングマークに見えない事も無い筋模様が見えるが泥岩側に全くそれらしき痕跡がみられない様に思う。砂質部のみを採掘するのでは余りに効率が悪い。この地層の様にやや硬めの泥岩部はノミや刃鶴の切削痕が残り易い筈なのだが、地元に伝承があるのかもしれない。


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