2020年8月5日水曜日

岩石と地層の表情:092;南伊豆町上賀茂の石丁場

石切場は常に観察出来るとは限りません。危険も潜んでいます。特に出入口付近は大量に土砂が流れ込んでいたり、その土砂が締め固まっていないので緩く崩れやすいので、私の様に体重が80kgも有るので、堆積した土砂が他の身軽な方々はすいすいと登れても、私だけは斜面が崩れて、奈落の方にずり落ちていくという恐怖を味わう事もあります。この石切場も切羽には行きつけなかった事例です。
伊豆の石材の中でも恐らく関東平野での採用頻度が最も高いだろう石材としてこの上賀茂の石材を考えていました。入れるかどうか判らないがと断りがありましたが、取敢えずご教示頂いた石切り場に入って見る事にしました。お訪ねした地主のお宅は凝灰質砂岩の立派な切り石を全く隙間なく積み重ねたもので、住み易いですよ。と仰っておられました。伊豆の石切場は勿論明りの石丁場も沢山見学させて頂きましたが圧倒的に地下の採掘が多いのですが、此処もお住いのすぐ裏に石材を一時的に貯める石置き場と搬出の為の斜路があり、直ぐに山裾の一角に小さな開口部があります。
石切場の地主さんのお住いの壁の一部です。切石の高さは約 18 cm 。細粒の凝灰質砂岩で、堆積時の流れに拠るラミナが粒径の差で描かれている狙い通りの石材が使われていました。
開口部は、搬出用の斜路部分が土砂で埋まっているので、こんな狭い穴から入る事になります。いや、これでも広い方になるかもしれません。
中に入ると直ぐにコウモリが居る前室の様な空間があり、正面の坑道は両側に積み重ねてストックされていたらしい切り石が崩れていて、全く進めません。空間が狭いのでリュックサックを背負っていたのでは行動出来ない広さです。
左手の方に延びる狭い坑道がありましたので、進んでいくと、崩落部のずりを積み上げて動線を確保した雰囲気の場所が在り、前方に大きな崩落が見えて来ました。
駄目です!崩落の土砂が流れ込んだのか山になっていて、頭を突っ込んでみたのですが、身体の自由が利きません。写真で見るとまだ結構な隙間が広がっている様に見えますが通過できませんでした。少し先の天井が線状に崩落しています。
平らな土地が狭いので斜路が複雑に入り組んでいます。奥にトタン波板の屋根が見えますがその手前がやや広い石置き場の雰囲気でした。少しだけ切り石が残っていました。
諦めて川沿いの家屋を見て回ります。立派な石蔵も有り、この様に美しい堆積構造を示す石材が使われています。良い仕事です。
古い建築の一部が風化で剥離しているものが有りました。我々にとっては「産地で」風化面と風化前の新鮮な石質の両方が観察出来るので貴重なものです。
堆積時の粒度変化によるラミナの部分を切り取ってみました。お決まりの小豆色の小岩片も見えます。
細長い切り石を谷積みにした石垣が有りました。産地ならではの風景かも知れません。

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