2019年10月29日火曜日

無縁仏の中の凝灰岩石材:造立年代の手掛り

墓地の中をウロチョロして古い凝灰岩質石材を探すのは、殆ど得るものが無いと考えて長年避けて来た。たまに「無縁仏」の中に凝灰岩質石材の墓石を探し出しても、密集して安置されているので、細かく石材の岩質を観る事も、刻まれた年号を記録する事も出来ないでいた。最近、幸手市、五霞町、栃木市岩船町、久喜市菖蒲町等を続けて歩いていると、意外と伊豆の凝灰岩質石材が数多く使われており、中には年号を確認出来るものが多い事に気付いたので、都市部や立派な墓地を持つお寺さんは初手から保存例さえ無い事が多いので無理だが、郊外の寺院や墓地の「無縁仏」のみを、最近調査対象に組み入れさせて頂いている。

石仏、石塔。石祠、礎石等多様に利用された粒状組織を持つ伊豆南部の凝灰岩質石材。この石材が実に多くの場所で使われている。風化してザラザラに見えるが彫刻や刻字には適した素材だ。

菖蒲の町外れの旧寺院墓地の無縁仏:これが四面ほぼ同型に積みあがっている

墓石の記載例:年号は干支が刻み込まれているので確定し易い。一人のみから五名まで様々。年号は1669年~1792年と123年間に及ぶものも有る。



年号が下部にあるので、日陰で写し込めない場合は次の画像の様に日陰と日照の有る部分の両方を写す。この例では天保二(1831)年を建立時期とした。

石材を見分けるのに重要な要素の一つ。堆積時のラミナが明瞭に観察出来る。粗粒部がラミナを示す例

これは細粒系だが、微細砂サイズで風化面にはラミナが出易いが、前の画像とはラミナの出方が異なる。

比較的多い、砂質の石材。全体が砂質のものと、粗粒部と混ざっている事が多い。破面では前画像と判別できない事が多いが、風化すると判り易い。

最初の画像と同種の、石材としては一番多い粗粒と細粒が適度に混じりあっているもの。
6枚目の画像とも同種類。この種には小豆色の火山岩の粒が含まれている事が多いので判り易い。

昨日の調査コース。たまにフラッグを立て忘れるが、トレースからも座標を拾えるので支障無い。

ある無縁仏でデータを採取した六例のデータファイルの一部。現存する墓石の 1/10 にもならないが、建立時期が判る墓石のデータは貴重だ。量的には安山岩が大勢を占める。大きな西暦文字表記が建立時期と判断したもの。文字サイズや配置からは、同時併記か追記したものかを考える。これは凝灰岩質石材のみのデータ。

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