2019年3月7日木曜日

南房総(嶺岡産)蛇紋岩に刻まれた石造物(2/2)

昨日に引き続き、蛇紋岩製の石造物の画像をご紹介します。説明は鴨川市教育委員会が添付した説明の一部を抜粋してご紹介しています。凝灰岩に比べて細かな文字が残り易いので、古い造立年代が確認され易く石工の系統や、移動を考えるには貴重なものなのですが、存在が殆ど南房総に限られるので千葉の北部に住む私には遠い存在です。

前面のみを平面に加工し、上下二段に各三体の地蔵尊を、龕(がん)を掘りくぼめた中に表現されています。上段左右の二体は二重円光とし、他は舟形光背です。
造立趣旨と紀年が読めないと思いますが最上部に書かれており、永禄二年(1559)に造立された事が判り貴重な庚申塔である事が判ります。六地蔵の持ち物も近世のものとは
異なる様で、判然としませんが下段右より宝珠・錫杖・念珠・鏡鈸(にょうばち?)・上段は宝珠・施無畏印(せむいいん)合掌、経箱?の様に見えます。

右手に小振りの錫杖を斜めに持ち“U”字形にはだけた胸前に置いた左手に宝珠を持つ地蔵菩薩が表現されています。後から刻まれたと思われる光背も裏面に陽刻されており、15~16世紀の制作と考えられています。

地蔵菩薩

馬頭観音:彩色 おっと、これは蛇紋岩では無く砂岩ですね。「安房の三名工」と言われた中の一人「武田石翁」の刻銘があります。砂岩の産地は彩色の為に確定していませんが、南房総には細粒部の鎌倉石に似た岩相の凝灰質砂岩を用いたらしい五輪塔や宝篋印塔も現存します。

役行者 これも砂岩ですね。蛇紋岩は細かな細工にはやや不向きだった様です。

馬頭観音 江戸時代の作と思われますがこれほど大きなものは極めて稀です。大きさ感が表現できずに申し訳ない。蛇紋岩です。

六地蔵彫像板碑 正面に四体、左右に一体ずつ地蔵菩薩像が彫られており、このような配置は極めて珍しいものですが、残念ながら紀年は確認されていません。類似品の存在から応永~永享期のものと想定されています。左手にガラスケースの反射が写り込んでいます。石造品の欠陥では有りません。

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