2016年11月1日火曜日

木更津市大寺 熊野神社 (2/2):露盤・産地不明

熊野神社境内には、かってこの付近に存在したと言われる「大寺廃寺」の塔の五輪下に置く「露盤」と目される大型の石材が存在する。露盤については下記の説明図を参照ください。



露盤は特に保護される事も無く屋外に置かれている。




側面を観察すると幾分層構造が見えるがそれほど明瞭ではない。

石材の表面を接写すると生物遺骸の顔が見えてきた。


尚、この「露盤」石の横には、用途不明の円柱状の石材が置かれている。



尚、この石材は剥離した破片の観察から石灰質であることが判明している。

この石材に関する文化財調査の報告としては「木更津市菅生第二遺跡 大寺浄水場建設に伴う埋蔵文化財試掘調査報告書」,菅生遺跡調査会,1978に記載が有る。

石射太郎山は小糸川水系に、大寺廃寺(熊野神社)は小櫃川水系に近接している。「石製露盤」の想定仕上がり重量は、高宕石の比重を2.722程度(千葉県産建築石材試験報文記載値の高宕石の比重)として、130 x 130x 60 x 2.722 ÷ 1,000 = 2,760kg である。仮に未加工の素材として切り出しと搬出を行ったとすれば、140 x 140x 70 x 2.722 ÷ 1,000 = 3.734kg の重量となる。
明治時代に於いては石切場から最初に人背により平地まで搬出したと言う状況から考えると高宕石を用いた石材としては破格の大型石材と成る。
降ろす事は、斜面を滑り下ろす事が可能であろうが、これほどの大型石材を切り出す事が出来たのか、あるいは平場での移送がどのようになされたのか?興味深い。
既に採掘し尽くされてしまった可能性も否定できないが、採掘、海路での運搬に適したと思われる明鐘岬付近の石材を用いたとしても、「石灰質」である事の説明が付かず、山地については想定することが出来ない。


使われている石材とその想定される産地:石灰質凝灰質砂礫岩;高宕石に類似するが産地は不明資料整理番号:No.122068-03B,最新の観察時期:2016年10月20日
地理院地図10進座標系:35.397764,139.972972

2016年8月13日にUPした「木更津熊野神社の大寺廃寺露盤」は本項と重複するので削除した。

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