2015年10月10日土曜日

仮称 茂木石 (7) 稲田駅裏のやや風化した石塀

稲田駅の西側にかって稲田石を鉄道輸送する為に使われた専用ホームの石垣が、踏切の西側に現存しています。但し、ここは私有地なので注意が必要です。その踏切を渡った場所に歴史を感ずる二階建ての民家が有り、その石塀に此の石材が使われています。



石塀の最上部は、これは凝灰岩質の石材の宿命の様なものでやや風化して内部に含まれて居る礫が見えています。石塀の表面からは判り難いのですが、用いられている石材が、大谷石よりも遥かに多く礫を伴っている可能性を示しています。火山礫は、大谷石の軽石とは全く別物でかなり硬質で、たまに大谷石にも有る流紋岩質の礫とは異なり、色合いから安山岩か玄武岩質と思われます。勿論、色だけで決めつけるのは科学的ではありません。黒い流紋岩が無い訳ではありません。また、大谷石でも宇都宮市下田原町の山田川沿いには火山礫を多く含む凝灰岩が分布しています。但し、建築用石材として採用されるか、否かは別の問題です。


塀の上面に、たまたま、含まれて居る礫岩がその破断面を見せていて、この礫が急冷を受けてガラス質である事を示しています。岩片は浮いて居るようでしっかり基質に固着しています。
 その石材の拡大図です。内部は小さなクラックで囲まれています。

尚、この石塀の向いは磯蔵酒造です。この造り酒屋さんの蔵も凝灰岩で築かれています。蔵の建築年代は大正期以前に遡る可能性がありますが、石材については、大谷でも、茂木でも無い様に考えていますので、もう少し検証してからご案内します。

2015年10月9日金曜日

仮称 茂木石 (6) 造り酒屋さんの石蔵

岩瀬駅を背にして駅前広場を見渡すとこの大きな石蔵が見える。仕込み蔵なのか確認していないが大きな立派な石蔵で、一部分は大谷石で補修している。画像の中の人物は私の師匠。
 石質は大谷石では無い。似て居るようで似ていない。一通り石材の画像をご覧頂いた後に、この地域の凝灰岩石材を胎胚する地層の特徴を文献を引用しながら御紹介する。


 石材の中の玄武岩~安山岩質の岩塊の拡大画像
2枚目の画像の中に移っている岩塊

2015年10月8日木曜日

杉戸宿の伊豆石を用いた石塀

10月7日に杉戸宿を歩きました。幾つかの神社と今は御商売をしておられない古民家(商家)の礎石に伊豆の白浜層群の貝化石細片を含む石材を確認しました。
以下の画像は、旧日光街道の渡辺勘左衛門邸の伊豆石の石塀です。恐らく、伊豆の下田市内産の石材です。明治20年より前の舟運が発達している旧宿場町には、実に多くの伊豆石(軟石)が入っています。以下の画像はその例で、石材1個単位で撮影しています。(トリミングしています)




2015年10月7日水曜日

仮称 茂木石 (5) 岩瀬町の石蔵

岩瀬町は2011年の東北大震災の際に地盤沈下が発生した場所です。資料を調べていくと、大きなところは15cm程度の沈下が発生している様です。
駅の北側で撮影させて頂いたこの蔵も、震災以来雨水が溜り浸水するので、取り壊そうか?と考えておられたようですが、是非、保存活用を計って頂く様お願いをしました。



 黒色岩片に殆ど斑晶が無いもの。周辺に風化と見られる水和層らしいものが見える。
 
 此方の黒色岩片は斑晶が含まれて居る。

2015年10月6日火曜日

仮称 茂木石 (4) 駅裏の採掘跡

このブログで駅裏の露頭の画像を何処かで紹介したように記憶するのですが、念の為にその露頭の画像をここにも掲出しておきたいと考えます。戦時中は現東芝の前身が地下軍需工場を置いた場所です。但し、嫌な事に、ここにはかなり大きなスズメバチの巣がありました。
 図は茂木町が設置した「立入禁止」の標識に書かれた地下工場の構造を示すものです。赤紫は部分的に埋め戻した範囲。青は崩落の危険があり除去した部分です。黄色の「公衆用道路」の意味が判らなくて周辺を探してみたのですが判らぬままでした(あるいはこの丘陵上の道路かも知れません)。採掘場内の車庫や家屋は数年前までは在りましたが現在は撤去されています。一か所調査用の開口部らしいものが設置されていましたがスズメバチが怖くて近寄れませんでした。
 チョット外れた場所の崩落岩塊の破面です。堆積層はかなり水平ですが、岩相はかなり変化が有りますので、水流などで再堆積したものかもしれません。
 崩落岩塊の一つに焦点をしっかり併せないで写した画像です。スズメバチ怖さに、スケールも置かなかったのですが、後でみると黒色岩塊らしいものが含まれて居ます。尤も、ここで岩石ハンマーを使ったら間違い無くスズメバチの攻撃を受けていたでしょう。でも、この岩塊のサンプルを取って来るべきでした。暫くは我慢せねば危険です。

 以下の3枚の画像は「垣根掘り」の痕跡で、これが間違い無く石材の採掘遺構である事を示しています。



2015年10月4日日曜日

仮称:茂木石 (3) 茂木町内の建造物 寺院の中の蔵

茂木に到着したのが既に少し遅い時間だったので、この寺院の蔵に辿り着いた時は少しうす暗くなっていました。不思議な事に二種類の全く岩相が異なる石材がランダムに使われています。

 茶色っぽい部分は恐らく岩石に良く生える黴の仲間なのでしょう。下の画像は上の画像の一部を切り取ったものですが、黒い岩片が二個見えます。

 泥っぽい岩相のものと、軽石片が沢山含まれたものが面白い対比をなしています。