2018年9月1日土曜日

野田石工「古谷津喜兵衛」と神社額の龍の縁取りと閻魔像

伊豆産の緑色凝灰岩を用いて縁取りに美しい龍を掘り込んだ神社額の作者を調査中。文献で同類のものが安政四年と刻まれて野田にも在る事が判ったが見る事が出来ない。
この閻魔像を手掛けられた「古谷津喜兵衛」は野田の在の石工らしく、幾つかの作品が神社に収められており最も新しいものは大正時代の十六代の手になる鳥居が今の処最新作。作品の中に見事な龍が有るのでこの石工殿に焦点を当てて調査を進める事に空いた。現在はこの名の石材業社殿は居られない。画像は、これは閻魔法王であろうか?根府川石に似た形状の本小松石の硬い石の表面に丁寧な掘り込みをされており、文久二年壬戌と有るので西暦1862年の作である。





以前の凝灰岩の調査画像の中に、同種のものが瓦や他の石造物と一緒に置かれているのを見付けたので、近い内に裏面を確認に行く事にした。

GVP火山活動情報:8月22日⇒28日;18火山

GVPの火山活動情報の概要をご案内します。  “”
New Activity / Unrest

Etna  | Sicily (Italy)  | 211060 | Elevation 3295 m
8月20-26日の間、山頂火口では主に火山ガスの噴出、ストロンボリ式噴火、と火山灰の噴出が続いていました。ストロンボリ式噴火は、8月16日に新しく開いた火口を含む“Bocca Nuova ”火口と“NEC”火口から発生しています。“NSEC”火口での活動は散発的な噴火とストロンボリ式噴火でした。23日1700時に始まった噴火では、これらの火口からのストロンボリ式噴火が“SEC”火口と“NSEC”火口の鞍部に亘って急速に激しさを増し、爆発によりテフラを火口縁の上空 100-150 m まで吹き上げました。1730時に始まった“NSEC”の東側の火口からの噴火では、溶岩流が流れ出しました。この溶岩が流れ始めた直後には鞍部の火口から北側に溶岩流が数百メートル流れました。ストロンボリ式噴火は夜を通して翌24日の0620時まで継続しました。“NSEC”火口から0622時にストロンボリ式噴火が始まり、その南側山腹から小さな溶岩流が数十メートル流れました。25-26日に鞍部火口の活動は徐々に弱まり、火山灰の噴出も弱く散発的になりました。

Krakatau  | Indonesia  | 262000 | Elevation 813 m
8月23日1807時に噴火が発生し、濃密な黒い火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 700 m まで上昇しました。27-28日の間、火山灰を含む噴煙は高度 1.2-1.5 km a.s.l.に達しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。火口から半径 2 km 以内は立ち入り禁止です。

Manam  | Papua New Guinea  | 251020 | Elevation 1807 m
8月25日0600頃に始まった噴火について、住民の話ではその一時間ほど前から活動が始まっていた様ですが、噴煙は高度 15.2 km まで上昇しました。降灰が島の南西側の地域の“ Dangale in the NNE to Jogari ”にあり、ましたが、最もその被害を受けたのは“Baliau and Kuluguma”地区で、木々の枝が火山灰の重みで折れて落下し、周囲は暗く、懐中電灯が無いと外を歩けないと報告されました。溶岩流が北東側山腹を下り、火砕流堆積物は海に流れ出す北東側の谷を埋め尽くしました。火砕流は6軒の家屋を消失させ“Boakure”村の住民は近隣の“Abaria ”に避難しました。報道に拠れば、2,000任の人々が避難したと伝えられています。噴火は1030時に収まり、その後は濃密な白い噴煙が観測されています。噴火後に視界が開けた時と26日には白い水蒸気の噴煙と明るい灰色の噴煙が時折観測されました。

Merapi  | Central Java (Indonesia)  | 263250 | Elevation 2910 m
2010年に生まれた溶岩ドームの容積は連日 4,300 立方メートルの割合で成長し 28日には44,000 立方メートルに達しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。半径 3 km 以内は立ち入り禁止です。

Ongoing Activity

Aira 桜島 | Kyushu (Japan)  | 280080 | Elevation 1117 m
南岳火口で、この間、3回の噴火と12回の爆発が発生しています。火山灰を含む噴煙は火口上空 2.1 km まで上昇し噴石は火口から 1.3 km に及んでいます。夜間には時折火映が観測され、警戒レベルは“5”段階の“3”。

Ambrym  | Vanuatu  | 257040 | Elevation 1334 m
“Ambrym’s Benbow and Marum”火口の溶岩湖は依然として活動的です。継続して火山ガスと水蒸気を輩出しています。警戒レベルは“0-5”段階の“2”。Benbow 火口からは半径 1 km 以内、Marum 火口からは半径 2.7 km 以内は立ち入り禁止です。

Cleveland  | Chuginadak Island (USA)  | 311240 | Elevation 1730 m
低レベルの噴火の脅威は懸念されるものの、航空カラーコードを「イエロー」に引き下げました。報告では地表面温度の上昇は観測されており高温ガスの噴出が想定されています。

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 | Elevation 1229 m
8月22-23日と25-28日に火山灰を含む噴煙が高度1.8-2.1 km に達し様々な方角に拡散しました。

Ebeko  | Paramushir Island (Russia)  | 290380  | Elevation 1103 m
17-24日に掛けて噴火が発生し火山灰を含む噴煙が高度 5.2 km に達し、噴煙は南東に 235 km まで広がった事が観測されました。21-23日には温度異常が観測され、航空カラーコードは「オレンジ」を維持しています。

Ibu  | Halmahera (Indonesia)  | 268030 | Elevation 1325 m
8月24碑0838時に噴気阿が発生し火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 800 m まで上昇しました。地震波形は爆発と岩屑雪崩を示しています。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。北側の 3.5 km 以内と火口から半径 2 km 以内は立ち入り禁止です。

Kilauea  | Hawaiian Islands (USA)  | 332010 | Elevation 1222 m
25日に実施した上空からの観測では割れ目火口“8”の火口底の奥に小さな溶岩湖が認められましたが、27日には確認されませんでした。溶岩流は依然として海に流れ出し、“Laze”噴気を生じています。27日にはごく小さなブレークアウトが生じました。航空カラーコードは依然として「オレンジ」です。画像はUSGS/HVOサイトから引用した玄武岩質軽石の例です。

Pacaya  | Guatemala  | 34110 | Elevation 2569 m
爆発的噴火は僅かに活発化し、毎時 3-5 回の爆発が地震波形に記録されています。
“Mackenney”火口からの 600 m に及ぶ溶岩流は北西側山腹に流れています。

Sabancaya  | Peru  | 354006 | Elevation 5960 m
連日平均25回の爆発が発生しており、火山灰を含む噴煙は火口縁の上空 4.5 km に達しています。25日に観測された亜硫酸ガスの噴出量は日量で 2,230 トンです。火山から半径 12 km 以内は立ち入り禁止です。

Semeru  | Eastern Java (Indonesia)  | 263300 | Elevation 3657 m
23-27日に掛けて火山灰を含む噴煙が高度 4.3 km に達しています。

Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  | 300270 | Elevation 3283 m
熱異常が17,19,23日に観測され、その他に日は天候に恵まれませんでした。航空カラーコードは「オレンジ」です。

Sierra Negra  | Isla Isabela (Ecuador)  | 353050 | Elevation 1124 m
20-21日にウエブカメラで水蒸気と火山ガスの噴出と溶岩流による火映が観察されています。22-28日は何事も観測されませんでした。

Turrialba  | Costa Rica  | 345070 | Elevation 3340 m
27-28日の間、火山からの噴煙はほぼ火口縁の上空 200 m の高さを維持していました。

Yasur  | Vanuatu  | 257100 | Elevation 361 m
8月中の現在の噴火活動は時々強まりました。警戒レベルは“0-4”段階の“2”。火口から 395 m 以内は永久立入禁止区域です。画像は日本時間の9月1日早朝のライブカメラ画像です。

以上

2018年8月26日日曜日

火山列島日本展:OPTガイダンス:野田市内で見る石材 (5)

当日ご覧頂けないけれど、凝灰岩のチョット詳しい画像のご案内
画像は野田市古内内の八幡神社境内の土中から採取した比較的細粒の緑色凝灰岩。この神社は西院改修済で境内には凝灰岩を用いた石造物は見当たらないのですが、境内には沢山の岩片が土中に半ば埋まって僅かに顔を出していたのでサンプリングさせて頂きました。
全く細粒のものと、やや粗粒のものが含まれているものと二個あります。
三番目は「石灰質の生物遺骸(化石細片)に富む石灰質凝灰岩」で、印西市物木の諏訪神社で採取したもので、狛犬か燈籠か不明ながらその礎石の部分だけが四角い枡状に残っており、その近くの矢張り土中から採集したものです。
四番目は、武蔵五日市付近で採掘されていた「伊奈石」です。博物館の県外岩石観察会の際にサンプルを転石から頂いてきました。この凝灰岩はごく狭い範囲に分布していますが、実は房総半島の嶺岡に実にそっくりの石材が在ります。表面のに白い斜長石の結晶が特徴ですが、両者共に「石臼」に使われていたと云う共通点が有ります。
最後は顕微鏡画像はありませんが、野田市内では実に歴史的に大量に使われて来た「岩舟石」を紹介しておきます。栃木市岩舟のJR駅前に採掘場跡と「日本で一番小さい岩舟石の資料館」があります。この石材は水に強く、醤油工場と河川出の水防用に大量に使われ他石材です。画像の説明は個別に添付しています。

①~④までが同一のサンプルの画像です。一枚目は採取したサンプルの外観です。他のサンプルもタワシでかなりゴシゴシ洗って序に風化した軟らかい部分は取り除いています。

顕微鏡のステージに乗せ易い様に、10 mm 前後の厚みに並行に切り出した資料を造り、出来るだけ研磨材で#1500 程度まで研磨します。研磨状態の画像では上のスケール側は細粒で下方に行くほど粗粒になります。左手に小さな茶褐色の粒子が有り、この付近を観察すると右下がりの線状の構造が見えます。これが堆積時に水流で造られる「ラミナ」です。

画像の横幅は特にお断りしない限り、ほぼ 4 mm です。中央に軽石があります。白濁した部分は方解石・石灰分です。白い半透明の部分は大体斜長石。緑色は主として「緑泥石」と云う鉱物が出来ています。

試料を少し動かすと全く別の顔が現われます。安山岩や玄武岩と異なり凝灰岩は主成分は火成岩ですが、堆積岩なので隙間が有ったり粒子のサイズもバラバラです。房総半島の房州石ではこの緑色の部分は、ほぼ観察されません。

二番目のサンプルは、全体的には細粒ですが、所々に数 mm サイズの凝灰質の塊や岩片が含まれています。この大粒の岩片がラミナを描くと中々美しいものです。右端の小豆色のものは火山岩片です。

研磨後の画像です。粒子の分布が全くバラバラですね。白濁した不定形の粒子は大体石灰質の生物遺骸でこれが全体の糊の役目を果たして結構硬くしかも削り易くしてくれるので彫刻に適した石材です。

この顕微鏡画像では、中央に安山岩が見えます。中に含まれている白い四角い形状は斜長石の斑晶と見て間違いないでしょう。軽石や岩片の間を緑色の薄い膜が取り囲んでいる雰囲気です。

石灰質の生物遺骸(化石細片)に富む石灰質凝灰岩の、ほぼ生物遺骸だけの部分です。画像の横幅は 47 mm。一応、火山岩片や軽石も含まれていますが、薄板状の化石細片がミルフィーユ状に折り重なって堆積しています。これもラミナが観察し易い石材で、伊豆と房総半島に似た様な成分の石材が採掘されましたが、下田プリンスホテル付近の一部の例外を覗き、他にも幾つか分類ポイントがありますがラミナが観察されれば伊豆産出です。

顕微鏡を使わずに、デジカメの接写レンズを使って撮影した画像です。赤茶色は勿論火山岩片です。このスケールは「クラックスケール」の商品名で販売されていて、薄くて目盛の印刷が綺麗でしかも低価格の名刺サイズなので重宝します。小さな目盛は 0.5 mm 単位です。間違ってもステンレス製は買わない様に!

野田では観察出来ない凝灰岩の例です。武蔵五日市付近で採掘されていた「伊奈石」と云うもので細粒砂岩ですが、この白い風化斜長石が表面で妙に目立つのが特徴です。これは未だ詳細の観察が進んでいません。房総との相違点を探し出したいと考えています。

端面をざっと研磨した状態です。岩石の破面や風化面の状態も重要な観察項目ですが、この様に平らな研削面を造るのも、凹凸等の見た目に騙されない為には重要な観察方法だと考えています。

中断していますが、少し粗い研磨状態での顕微鏡画像です。画像の横幅は 3 mm です。研磨材のひっかき傷が残っています。中央は劈開が観察されるので斜長石です。

最初の二つの凝灰岩は最初の頃は別物として分類していましたが、堆積物なのでこの様に細粒分と粗粒分が一つの石材として認識されるようになりましたので、敢て区別する必要は無くなりましたが、やはり見た目がかなり違うので、今でも一応別に区分しています。

チャートの岩塊が含まれた凝灰岩が珍しい訳ではありませんが、野田付近に運ばれた凝灰岩として醤油工場の立地と、利根川と江戸川の存在からこの岩舟石は人々の目には触れない場所でこの石材は活躍してきたものなので、参考用に御案内します。チャートや花崗岩が含まれているので、足尾付近と似ています

以上

OFF

8月25日:OFF
新鮮そうな岩石破面を見るとカメラに・・・
大英帝国の元気だった頃の
手吹きガラスは風景のゆがみを確認
・・・
数十年前の機械製図の最初のテーマはこんな手巻きウインチだった
三段の石垣
上から見ると
・・・ナナカマド・・
今日一番の遠地点