神社の創建時期や由緒については詳らかではないが、氏子の皆様の信仰も篤い様で境内は清潔に掃き清められていた。足立区内の数多くの「氷川神社」同様に現在は花崗岩が多用されているが、伊豆半島産出の凝灰岩や安山岩質のいわゆる旧の小松石が境内に数多く使われている。神社の北側には草加市と足立区の境をなす「毛長川」が流れ、付近一帯は古代遺跡が数多く分布する古くから栄えた場所と云える。
江戸狛犬の作者は不詳だが勢いのある姿が美しい
拝殿の礎石は石灰質の生物遺骸(化石細片)を豊富に含む、伊豆下田付近の石灰質凝灰岩が用いられている
石灰質凝灰岩は基壇の笠石や角石に使われる事が多いが、此処では燈籠の基壇笠石に用いられている。基壇を構成する石材は地衣類などに覆われて使用石材の詳細は不詳
石灰質凝灰岩の側面にはラミナが観察されるが上面にはラミナに拠る模様が放物線の様な模様を造る事が有る。また、所々にやや大きめの石灰質の断片が顔を出す事も有る
本殿の礎石には細粒の緑色凝灰岩が用いられている。河津桜で有名な河津のやや上流の沢田付近の石材と思われる。一部分が風化に拠り剥離しているがオリジナルの整形面も残る。台風の通過後で石材は湿気を含み普段とはやや色調が異なる。尚、風化色は淡褐色を呈す
本殿前の石燈籠の一対は前記の通り、伊豆の凝灰岩と溶岩が用いられているが、奉献者名の欄の先頭に「海道三ノ輪」の文字が見える。毛長川での舟運も盛んな頃のものであろうか?建立は「文政五年牛九月吉日」とある。西暦1822年である。
以上。本件の記録作成完了(9頁,画像数:17枚,3.85MB)で、凝灰岩質石材の観察資料は775件,4569頁に達した。訪問地も神社のみで1,000 ヶ所を越えた。さて何処まで行けるか?
0 件のコメント:
コメントを投稿