2018年5月30日水曜日

越谷市西新井:石神井神社本殿の基壇石組

元荒川と綾瀬川に挟まれた平らな土地の中に石神井神社は鎮座しています。一番近そうな埼玉県健康福祉村のバス停から「末田大用水路」に沿って北上し途中から田んぼの中を歩いておよそ500mで石神井神社に到着します。

ネットで見ると比較的最近に整備されている感じなのですが、どうやら本殿周りの玉垣が木製で本殿基壇が見えそうなので出掛けてみました。最近では昭和25年に改修が行われたらしい事が、基壇に嵌めこまれた白河石らしい献額に書かれています。献額と基壇の角石は白河石。

ざっと見回すと、基壇の石材は笠石に大谷石が有りますが、大体は伊豆の凝灰岩で積まれている様です。半ば崩れた扁額は、小豆色の火山岩片を含む緑色凝灰岩です。屋内に収めて置いて頂ければ此処まで朽ちる事は無かったように思いますが残念な事です。

尚、玉垣内の石材の画像は全て 300 mm の望遠レンズで手持ち撮影なのでややボケ気味です。大きな黒色の礫を含角礫緑色凝灰岩は、間知石として良く使われている、伊豆は湯ヶ島付近の石材です。様々な礫が含まれていますが、赤味を帯びた火山岩の場合は、ほぼ「杏仁:きょうにん」構造が発達しているのが特徴です。



淡褐色の大きな塊の間を淡い淡緑色の凝灰岩が埋めているのは、採掘地が特定できていないけれど、南伊豆に良く似た露頭を観察出来ます。淡い細粒の緑色岩の部分の固結度が低いと淡褐色の岩塊がぽっくりと外れてしまいます。



ゴマシオ状の石材は実は扁額の石材に良く似た、砂粒が目立つ石材です。その上ののっぺりとした石材は淡緑色の細粒凝灰岩の風化色が出ています。

風化すると大谷石との見分けが付き難くなる事も有ります。
関東大震災の被害も受けている事でしょうし、その以前にも何度か水害や地震被害を受けて改修するたびに、その時に手に入り易い石材で補修が行われた結果の集成なのでしょう。改修の歴史が判ると面白い石材史が綴れそうです。

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