2017年6月21日水曜日

太田市旧高山神社の火災の影響を受けた花崗岩

天神山の凝灰岩調査で群馬県太田市附近を歩いた時に、ある岩石の露頭を探して金山丘陵の南に残丘状の高まりの高山神社を訪ねてみた。この神社は、後で知った事だが明治に創建された後に、1932年に現在地に遷座された比較的新しい神社だが、2014年に放火により本殿が全焼している。

 放火により焼失している事等知らずに階段を登ると、見えて来たのがこの風景。焼失後も再建に至らず現状を維持しているらしい。実は、花崗岩は岩石の結晶粒子径が大きい事が有り比較的熱に弱い。加熱する事で結晶粒がはがれて吹き飛ばされるので、山から採掘する場合にガスバーナーを用いて切断・採掘を行う事例が有る。

本殿前の花崗岩で築かれた階段の石材の角に近い部分が大きく壊れている。

また、壊れていない部分も最後の画像に観られるように小さなクラックが入り、石材の透明度が低下している。

普段は中々観察する機会が無い事例なのでご紹介。
凝灰岩の中にも火に弱いと言われるものが含まれているが、大正初期に発行された当時の建築用石材に関する調査資料を観ていると、花崗岩の耐熱性は凝灰岩に比べると格段に劣る。小生の石材関係報文に抜粋引用したデータが有るのでご紹介する。最初は房州石。

これに対して花崗岩は初手から試験温度が低いのだが弱い

尚、これらのデータの出所は下記
◎茨城県産花崗岩応用試験報文,旧農商務省地質調査所,地質調査所報告第37号,清水省吾,1913

◎千葉県産建築石材試験報文,旧農商務省地質調査所,地質調査所報告第44号,清水省吾,1913,
以上

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