2018年5月24日木曜日

草加石工:青木宗義 異聞

たまに武蔵野線からの騒音が聞こえる越谷市七左町の観照院と隣り合わせの稲荷神社(地図表記では天満宮,鳥居には稲荷神社)と観照院墓地の間の通路の脇に燈籠のどうやら用済みらしい石燈籠の部材が置かれており、私が取り敢えず注目したのはその下の淡褐色の石材で、伊豆は須崎~下田付近に産出する石灰質生物遺骸を大量に含む凝灰岩なのだが、チェックを終えてフト!上に載った石材を見ると厳めしい獅子の姿が在る。

最近、草加宿の石工「青木宗義」の二代目について調べ、草加の地図に記載されていない小さな神社の氏子総代さんに12頁の簡単な報告書をお出ししたばかりなので つい、作者の銘を探すと、隣の台座には願主のお名前と共に石工の名が「草加宿石工 関八州石工頭子孫 神流齋 青木庄左エ門宗義」と刻まれている。



草加宿に定住後の初代青木宗義が神流齋を名乗り始めたのだが、これまでの調査では「神流齊」は初代だけが使っていた事が確認されており二代目以降が用いた例は確認されていない。「二代目青木庄左エ門」の記載は確認されている様だが、絵画に秀でた技術を持ち「画号」として「神流齊」を用いた筈なのに、これを二代目以降が使ったとは不思議でならない。もう一つ、他の署名は「関八州石工司子孫」なのだが、今回は「関八州石工頭子孫」とあり、明らかに初代では無いと思われる。尚、建立の年号は台石には刻まれていなかった。草加と越谷は、一応今月中に整理したいと思っているのだが、この調子では、時々未見の社寺を覗きに行かなければならない様だ。

2018年5月23日水曜日

富浦海岸地質観察会 (6) 大房岬で採掘された凝灰岩(3/3)

逢島から法華崎に向かう途中の道路が国道側と海水浴場側の二手に分かれる辺りの右手に、やや大型の石材を使った、防波堤の様ながっしりした石積みが在る。ここの石材は赤錆色が濃いのだが、幾つか生痕化石が観察出来る場所だ。石組の一部。

堆積層に直交する石材面の例。スコリアのサイズがやや大きく量も多いようだ。

堆積面に平行な生痕化石が観察される石材表面を二例。



参考用に、対岸の三浦半島の「佐島石」が石蔵に用いられている例で、壁面に生痕化石が現われている例。ここは見事に薄い堆積層が幾重にも重なっているのが観察出来る。

同様に参考用画像だが、房総半島の外房側。勝浦市の南側に広がる守谷海岸に残る採石跡で観察される生痕化石の例。

これにて千葉県立中央博物館の地質の日記念地学観察会の報告は終わります。

2018年5月22日火曜日

富浦海岸地質観察会 (5) 大房岬で採掘された凝灰岩(2/3)

駅周辺の建物はかなり建て替えが進んでおり、古い建物は余り存在していないが、部分的に補修しながらも古い石材を使い続けておられる場所も有る。
国道沿いの石垣は車が巻き起こす土埃で汚れているが、堆積層がハッキリと観察できるものが有る。



別の場所の石塀で、門柱の部分と笠石が置き換えられているが未だ未だ当分このままで使って頂けそうな雰囲気だ。泥質(火山灰も多い事が鉄錆色から判るが)の部分が卓越しているが、スコリアも適度に含まれていて面白い。

堆積層を横から見たものだが、スコリアは厚い層を造らずに適度に分散して見える。

スコリアが含まれる面が見事に平らに現われているものも有り、

これを接写すると結構面白い発泡したスコリアが観察される。
接写した画像の横幅は 3 cm



今週は都合でFWは余り出来ないのが残念。
しかし、このブログは開始当時データ容量の上限が“300MB”しかなかったので、結構簡単に容量オーバーで使えなくなると思ったが、既に1866回投稿している。実際にはGVPの火山活動情報の古いものを削除しているからこれをそのままだったら2,000回を越えていただろうに、太っ腹な事である。

2018年5月21日月曜日

富浦海岸地質観察会 (4) 大房岬で採掘された凝灰岩(1/3)

大正初期に地質調査所から発行された「千葉県産建築石材試験報文」によれば、此処で産出した石材は、鋸山に産出した房州石の中一部の石材に似ていた様ですが、実は堆積構造が全く異なります。
観察会の日に、街中の石材を観察しましたが、大部分の石材は鉄分が酸化して赤茶けた色になって居ましたが、一ヶ所だけ錆色を示さない石材が家屋の一部に使われていました。
家屋の腰回りに使われている状況。

スコリアが目立つ部分と泥質に見える部分とが混在している。

スコリアが目立つ部分の拡大。

スコリアが目立つ部分と泥質主体の部分が成層している状態。

泥質の部分には石灰質の生物遺骸と思われる部分も含まれています。錆色が見えるのは打ち込まれた釘です。

斜めの堆積構造が目立つ房州石では、このような生痕化石を観察する機会はほぼありませんが、それ以外の房総半島産の凝灰岩質石材は大体において平行な堆積なので生痕化石が模様が観察されます。三浦半島の「佐島石」も生痕化石が目立つ石材です。

富浦海岸地質観察会(3) 不得手な化石類

今回の観察会では化石の採取も出来ました。伊豆の石灰質の凝灰岩の説明をする時に、貝殻が解けてそれが再度結晶化して石材の強度を高めると云った説明を良くしますが、石灰質のノジュールの形成には、特に、貝殻などが融け出す必要も無く、貝の有機物が腐敗する際に、生物体を造る有機物中の炭素から炭酸水素イオンが造られ、それと海水中のカルシウムイオンが反応して炭酸カルシウムが形成されると云う新たな考えが名古屋大学の研究グループから提唱されていて、極めて短時間にノジュールが形成されるのだそうです。
炭酸塩ノジュール等の観察風景

種は不明ですがサンゴらしい。

海岸で拾える沼サンゴ。漁師の方が居られなくて仕事の邪魔にならないと思われる時は漁港の船溜まり(漁船を引き上げる処)を覗いてみるのも・・・



化石とは言えなさそうだが、伊豆の石灰質凝灰岩や房総半島の高宕石に含まれる石灰藻。

貝殻を焼いて漆喰の原料とした事から「ハイガイ」と呼ばれる貝化石も海岸で拾えますが、地上にはこれを含む地層は見当たりません。赤貝の殻を少し厚くした雰囲気。

ズーフィコスと呼ばれる生痕化石。黒いのはスコリアが含まれている為です。
白い火山灰の層に棲息すると同じ形の白い生痕化石が形成されます。生痕化石は他にも多数観察されます

2018年5月20日日曜日

富浦海岸地質観察会 (2)南房総層群の変形構造

今回の観察会は、千葉県博としては比較的狭い範囲の観察会でした。富浦海岸から西を望むと大房岬(だいぶさみさき)が東京湾に突き出していて、西側の岸壁は明治初期からの凝灰岩の産地でほぼ水平に地層が堆積しています。街中の軌跡は1時間早く着いた私が、街中の「大房石(富浦石)」が使われている状態を調べた際のもので、観察会のコースは駅から北側に向い海岸沿いの軌跡で示されたものです。
内房海岸のこの付近から勝山付近までの範囲では、海底の変形構造が観察される場所が沢山分布しています。その地層の変形構造を少しだけご紹介します。
小さな回転構造の様です。腕を突き出した星雲の様な形状が見事です。

スコリアを少し含んだ地層は風化に強く、この様に立体的に変形構造を観察出来ます。

複雑に折り曲げられています。

この付近は少し固結度が高かったのでしょうか?曲げよりも破断してしまっています。

引潮の時間帯には、波蝕棚のスランプ構造が観察されます。

網が被せられているので少し見難いですが、遊歩道脇の崖にも沢山の大きなブロックが様々な方角を向いているのがわかります。崖崩れはこのブロック単位で起こるので、かなり大きなブロックが崖下に点在しています。

千葉中央博の地学観察会「南房総市富浦海岸の地質」 (1)

近くの大房岬(だいぶささき)の先端は明治からの石材採掘跡が在る場所なのだが、海底地すべり地形や、縄文時代の炭酸塩ノジュールが採集出来るこの海岸線は初めて歩く機会だった。

海底地すべり地形はこの付近だけでは無くて、南無谷海岸や岩井付近にも似た様な露頭が分布している。今日は、スコリアに囲まれて火山豆石のとても観察し易い露頭を見付けたが、余りにも日射しが強過ぎて旨く撮れないものですね。