2020年6月2日火曜日

岩石と地層の表情:035;渡良瀬の枕状溶岩

桐生市から黒保根付近はシームレス地質図を見ていると緑色・黄褐色や灰色の筋状の地層が幾重にも走っている。多少位置が違うかなと思う場所もないでは無いが、桐生市内の市民のハイキングコースになっている場所にも露頭が在って写真を撮っていると「なにしてるの?何が有るの?」と次から次へと質問攻めにあって作業が捗らない事があった。
渡良瀬渓谷鉄道の水沼駅から程遠からずの場所にもこの緑色が勢力を伸ばしています。荒神山には登った事がないのだが、ここの落石には枕状溶岩が混ざっている事が有るので渡良瀬川沿いの石屋さんの展示場に置かれている枕状溶岩の大きな塊は、恐らくこの辺で採掘されたか、拾われて来た落石なのだろうと思っている。黒保根大橋を渡って直ぐの処に、夏の終わりに彼岸花の群落が美しく咲き乱れる昔のキャンプ場があるのだが、ここの少し下流の、水位が低い時には河床を伝っていける場所に珪化して美しい枕状溶岩がある。一つ上流の五月橋付近にも河床や対岸の崖に露頭はあるが近付きにくく、こちらはむしろ上流の石材屋さんが放棄した花崗岩の端材を拾うのに便利な場所になっている。
地図は、産総研のシームレス地質図のこの付近の抜粋で、白く囲んだ辺りに荒神山から落石したらしい大量の枕状溶岩がある。水量が多いと近付けない可能性も高い。
対岸には渡良瀬渓谷鉄道のトロッコ電車が見える様な位置から少しだけ下流に下る。
枕状溶岩は典型的な形状のものが多いので、初めてでも直ぐに判ると思う。急冷を受けてガラス質になった様な岩肌なのでチョット驚くが硬い。大きなものが多いので、叩いても枕状溶岩の雰囲気を形状に残すサンプルは取り難い。
これは比較的小型だが、珪化していても放射状の冷却節理は残っている。
慣れて来るとこのような折り重なったものも順番が判るようになってくる
形状の謎解きも慣れると面白いもんです
これも良い形状ですね。
真ん中のピローから下に溶岩が流れ出している
運が良いと、この様に矢穴の残る花崗岩が観察されたりする。さて何時の時代のものやら?此処から上流は「沢入:そうり」花崗岩の産地で、今は無くなったが昔学校のグランド等に巻いていた風化花崗岩の粗い砂はここのものが多い。
園内にはこのようにチャートの露頭もあります。

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