GVPの火山活動情報の概要をご案内します。
報告に拠れば火山周辺の地震活動は低周波地震に限定されています。6月25日以来地震の数は連日25回から、28日には69回に増加しており、27日には火山性微動も発生し、2221時には噴火により火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 2 km まで上昇しました。火山灰を含む火山ガスの噴出は28-29日も続き、噴煙はおよそ 2 km 上昇し、夜間には噴煙に火映が見られ、衛星画像では 1,200 ℃の高温を観測し火口底に溶岩の流出を確認しました。衛星画像による熱異常の観測では、この一連の噴火が始まった2017年11月21日以降の最大値が29日に観測されました。
28日の火山灰を含む噴煙によりバリ島への航空便の一部がキャンセルされました。降灰が周辺の地域から報告されました。火山から南西 60 km に位置する“Denpasar”、128 km 西の“Banyuwangi”、200 km 西の“Jember”等の空港が29日に閉鎖されました。溶岩は継続して流出を続け、7月1日には新たに噴出した量だけで“ 4-5 million cubic meters ”、2017年11月21日の噴火開始以来では“ 27-28 million cubic meters ”と、火口内容積の 50 % に達する容積となりました。火口内の南西側の最も低い位置と、火口中央部の溶岩の最も高い位置とではその高さの差は 85-90 m に達します。
衛星画像では熱異常は28日から7月2日に掛けて減少していますが現在も高いレベルを維持しています。 7月2日2104時に発生した爆発的噴火では火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 7-9 km に達し、白熱した溶岩を山腹に 2 km 以上の範囲まで噴出しました(FB にて画像紹介済)。報道に拠れば、噴出物により山腹上部の森林火災が発生し、少なくとも
700 名が避難を強いられています。3日0413時の噴火では火山灰を含む噴煙がおよそ2 km 上昇しました。警戒レベルは“1-4” 段階の“3”を維持し、半径 4 km 以内は立ち入り禁止です。
Great Sitkin | Andreanof Islands (USA) | 311120 | Elevation 1740 m
6月10日の短時間の噴火の後、地震活動は徐々に平常値に戻りました。27日に航空カラーコードは「グリーン」に引き下げられました。
Ibu
| Halmahera (Indonesia) | 268030
| Elevation 1325 m
6月27日に火山灰を含む噴煙が高度 1.8 km に達しました。警戒レベルは“1-4” 段階の“2”を維持し、北側の 3.5 km 以内と火口周辺の 2 km 以内は立ち入り禁止です。
Krakatau
| Indonesia | 262000 | Elevation
813 m
6月27日から7月3日の間、天候の良い状態では白い噴煙が“Anak Krakatau”上空 100 m まで上昇するのがしばしば観測されました。7月1-2日には火映が山頂部分に観測されました。警戒レベルは“1-4” 段階の“2”を維持し、火口から半径 1 km 以内は立ち入り禁止です。
Sierra Negra | Isla Isabela (Ecuador) | 353050 | Elevation 1124 m
噴火は6月26日の1340時に、火山の北側山腹の数か所の割れ目火口とカルデラ内の火口から始まりました。山腹からの溶岩流は“Elizabeth Bay”と“Punta Morena”の間の海岸線に達しました。火山灰を含む火山ガスの噴煙はおよそ 10.5 km まで上昇し、地震活動と音響データは徐々に活動を弱めながらも27日まで続きました。7月1日1552時に弱い地震活動が観測され引き続き少なくとも4時間に亘って火山性微動が観測されました。1600時に公園スタッフが北西側山腹から溶岩が流出しているのを観測しました。
Yasur
| Vanuatu | 257100 | Elevation
361 m
6月27-28日に複数回の強い爆発的噴火が発生し、29日には間歇的に火山灰を含む噴煙が高度 1.8 km に達した事を観測しました。警戒レベルは“0-4” 段階の“2”を維持し、火口付近に近付く事は禁止されています。
Ongoing Activity
Aira 桜島 | Kyushu
(Japan) | 280080 | Elevation 1117 m
6月29日、南岳火口で小さな噴火が発生しました。7月1日2319時の爆発では噴煙が火口縁の上空 400 m に達し、噴石が 500 m 先まで飛散しました。火口の火映が7月2日に観測されています。
Ambae
| Vanuatu | | Elevation 1496 m
7月1日に“Ambae’s Lake Voui”火砕丘から火山灰を含む噴煙が上昇しているのが観測されました。
Bezymianny | Central Kamchatka (Russia) | |
Elevation 2882 m
6月22-29日の間衛星画像で熱異常が観測されています。
Cleveland | Chuginadak Island (USA) | 311240 | Elevation 1730 m
地震や空振の観測では特段の異常は観測されていません。6月29日から7月2日の間、火口の南西側山腹の溶岩流と思われる地表面の温度異常が観測されています。
Dukono
| Halmahera (Indonesia) | 268010
| Elevation 1229 m
6月27日から7月3日の間、火山灰を含む噴煙が高度 3
km に達した事が観測されています。
Ebeko
| Paramushir Island (Russia) |
290380 | Elevation 1103 m
6月26-27日に火山灰を吹くむ噴煙が高度3 km に達した事が報告されました。
Fuego
| Guatemala | 342090 | Elevation
3763 m
6月27-29日と7月1-3日の間、毎時間 2-7 回程度の弱い噴火が発生し、火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 650 m まで上昇している事が観測されました。岩屑雪崩が南、南西、及び西側山腹を流れ下りました。6月3日の火砕流では113名の死亡が確認され、いまだに197名が行方不明となって居り、12,823名が避難しています。
Kilauea
| Hawaiian Islands (USA) | 332010
| Elevation 1222 m
噴火はこの期間も継続しています。溶岩噴泉とスパッターは割れ目火口“8”に集中しており、溶岩流を流し続け海岸線を広げています。6月30日から7月3日に掛けて割れ目火口“22”から少量の溶岩が流れ出しました。山頂の火口縁の内側への崩落はマグマの引き戻しに対応しています。火口周辺の陥没に伴うクラックから水蒸気の噴煙が立ち昇っています。火口壁の崩落に伴う爆発はほぼ連日発生しており、少量の火山灰を含む噴煙がほぼ 1.5 km 程度上昇します。
割れ目火口“8”からの溶岩噴泉は火砕丘よりも 55 m 程度高く吹き上がり、ペレーの毛髪やその他の火山ガラスが“Leilani
Estates”に降り積もっています。溶岩噴泉は高速で流れる溶岩流を北東方向に流し、“ Kapoho
Crater”火口付近で南東に流れを変え、海に流れ込んでいます。溶岩流は時折流路の外に溢れ出します。溶岩流は流路の南側で流れ込みますが1 km 程度の領域に亘って“laze”の噴煙を生じています。6月29日の熱画像に拠れば、溶岩流はオーシャンエントリーの手前 0.8 km 付近で表面に殻をまとい始め、その殻の下を流れています。
Kirishimayama | Kyushu (Japan) | | Elevation 1700 m
6月27日1434時に新燃岳から火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 2.2 km まで上昇しました。5月初めからの地殻の変位は徐々に収まっており傾斜計のデータに変化はありません。加えて亜硫酸ガスの放出量は3月中旬には日量で 1,000トン程度でしたが、6月1日には日量で 80 トンに低下しています。6月28日には警戒レベルが“1-5”
段階の“2”に引き下げられました。
Klyuchevskoy | Central Kamchatka (Russia) | 300260 | Elevation 4754 m
火山活動は沈静化し、6月15日以降は火山灰を伴う噴煙は発生していません。火山ガスと水上kの噴煙は続いています。航空カラーコードは「イエロー」に引き下げられました。
Mayon
| Luzon (Philippines) | | Elevation 2462 m
6月30日に白い噴煙が火口縁の上空 750 m まで上昇しました。7月1日にも白い噴煙が山腹を下りました。1234時に発生した短時間の噴火の際には灰色の噴煙が生じました。夜間には火口部の火映が観測されています。警戒レベルは“0-5” 段階の“2”であり、南南西と東北東の 7 km の“EDZ”領域と半径 6
km の“PDZ”領域は立ち入り禁止です。
Pacaya
| Guatemala | | Elevation 2569 m
6月28-29日と7月1-3日にストロンボリ式噴火が発生し、噴石を火口縁の上空 30 m まで噴出しました。白色の噴煙が生じました。
Reventador | Ecuador
| | Elevation 3562 m
7月2日1116時に噴火が観測され火山b内を含む噴煙が火口縁の上空 3 km まで上昇しました。
Sabancaya | Peru
| 354006 | Elevation 5960 m
6月25日から7月1日の間は連日24回の爆発が観測されていました。ハイブリット地震が頻繁に生じますがマグニチュードは小さい値です。火山灰を含む噴煙は火口縁の上空 2.5 km に達しています。6月21日の観測では亜硫酸ガスの放出量は日量で 3,000トンでした。半径 12 km 以内は立ち入り禁止。
Sheveluch | Central Kamchatka (Russia) | 300270 | Elevation 3283 m
6月23-29日の間衛星画像で熱異常が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」
以上
参考用に、“Stromboli”火山、“Popocatepetl”火山、“Kizimen”火山のライブカメラ画像を御案内します。“Stromboli”火山、

“Popocatepetl”火山、

“Kizimen”火山

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