2020年7月6日月曜日

岩石と地層の表情:069;東金市・願成就寺の三基の五輪塔

群馬まで白色凝灰岩を調べに行くきっかけになったのがこの寺にある三基の保存状態が比較的良い五輪塔です。口伝に拠れば、「久我城主北条氏三代長時・久時・守時」或いは「上総介・三浦介・千葉介の三介」の墓で戦国時代に法華宗改宗の際に埋められ、明治40年頃に隣接する若宮八幡神社付近の畑地で発見されたと云われています。詳しい事は画像の中の教育委員会が建てた説明板を参照下さい。この五輪塔の素材が群馬県の「天神山石」だという論文が在ります。この石材は、横浜市西区、磯子区や 葉山町等の白色凝灰岩製五輪塔に使われた可能性が指摘されています。
境内にある三基の五輪塔の説明です。
三基はこの様に屋根下で保存されています。


三基共に同じような時代に同じ石工(仏師?)によって彫られたのか、様式がほぼ同じようです
黒いスコリアの様なものが無い部にある雰囲気です。この点は天神山石と似ています
火輪:屋根の一つはバッサリと後ろ半分が失われています。
火輪:屋根の一部を拡大しています。少し離れた位置にスケールを置かせて頂きましたのでボケています。
水輪:胴の下の方に薄く剥離した部分が観察されます。上の剥離しなかった部分と剥離後の部分の表面の粗さが全く異なります。単なる推測ですが、表面にこの石材加工から発生した細かな岩粉を塗り込んで「水磨き」を施したのではないかと思うのですが、実際の「水磨き」の様を殆ど観察した事が無いので良く判りません。ただ、群馬ではこのような粗さの差は観察出来なかったのが気になります。
群馬で拝見した多数の五輪塔とは、浅い薬研彫の梵字の周りの繊細な装飾が異なるのが気になります。様式の、時代の差だよ!と言われればそれまでですが、素人にはその差が大きくて、岩質の違いよりも気になってしまいます。

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