二上山・ドンズルボーの凝灰岩が法隆寺の金堂と五重の塔の基壇部分に使われている事を調べている時の事です。車窓から眺める景色の中に時折、野蒜石によく似た石材がある事に気付きました。橿原考古学研究所に行くのに間違えて橿原神宮駅で下車して歩き出した時に同じ町内の数か所その石材が門柱や石塀に使われていました。「野蒜石」にとてもよく似た石材がこの付近に産出しているに違いないと思ったので、試しに「この石はどんな石かご存知ですか?」と聞いてみました。それからが大変です。石材は「松島石」と云われた様なのですが、業者が売り込みに来て「この石材は古墳時代から使われてきて、少し高価だけど、大谷石のように腐る事も無く何百年も持つ素晴らしい石材で、この付近でも沢山採用して頂いている」と云われついその気になって購入したが「直ぐに門柱は傾くは、塀にはひびが入るはで・・・・」と長時間愚痴を聞かされる羽目になってしまいました。凝灰岩のせいでは無くその基礎の手抜きが原因の様でした。
しかし、古墳の石室の石材は剥き出しでは無いのでそれは長持ちするのですが、雨ざらしの門や石塀に使われた凝灰岩石材は、水はけや、気温の条件によっては必ずしも数百年に渡って健全性を保てるとは限らないので、やや過大広告気味の石材会社が存在した事が判りました。石材屋はどうやら九州まで売り込んでいた様で、関東では春日部などでも目にする事がありました。奈良で観察した石材を少しだけご紹介します。
JR香芝駅近くの大きなお宅の石塀
橿原神宮傍の民家の門柱付近の石塀。笠石の形状の悪さで水溜まりが出来てしまってカビが生えたケース
礎石との取り合いが悪くて湿気が溜まり冬場の凍結(盆地は冬は冷え込むだろうから)と融解で破損に至った事が想定される例
石材は決して悪くない。石材も被害者と言える
すべり面なのか、クラスティックダイクの様なものなのか?チョット興味を惹かれる構造
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