2019年6月16日日曜日

港区南青山の岩舟石:栃木市岩舟町で採掘された角礫礫凝灰岩

 千葉県立中央博物館地学科では11月に栃木市岩舟町の「日本で一番小さな岩舟石の資料館」と採掘が行われていた石切り場や岩舟石が使われた土木・建築物を観察する「県外岩石観察会」を現地集合・現地解散で開催する。
 この石材は、同じ栃木県内の真岡市内で採掘された「磯山石」と同じく、含まれる礫のサイズが大きく、主に石垣や河川の護岸等に使われてきた石材で主に栃木県内で使われて来たが、千葉北部の現在の「野田市関宿」では、利根川から江戸川を分水する部分の制水工としての「棒出し」用部材として使われたほか、野田~柏に数多く存在した醤油醸造業において水回りや大型機械用の礎石として使われて来た石材です。
 伊豆の凝灰岩は、鰯を天日乾燥させた「干鰯・魚肥」が運ばれた地域には殆ど出回っていると云える程で関東平野では流通領域が広いのだが、岩舟石や磯山石の流通範囲はごく限られていて、南青山の「青山葬儀所」正面の石垣に使われていた例は東京都内での初めての確認だった。
 岩舟石には、オリビンの小さな結晶(顕微鏡レベルの)を含む真っ黒な水冷玄武岩と、熱変成を受けてやや透明度を増したチャート岩片が混じる事が多く比較的選別し易い石材だが、化石や花崗岩を含む物など岩相は変化に富むものです。

外苑東通り(319)に面した石垣に「岩舟石」が積まれている

南側の都道413号との接続部に面した部分は大谷石が使われている。岩舟石の石積みは目地材が無い。

黒い礫は玄武岩質、中央付近にやや透明感のあるチャート片が観察される。細い落ち葉がスケール代り

薄茶色の部分は蘚苔類。黒色礫の破面は硬そうな面構え

白い礫と画面左下スケール上のやや黒い礫はチャートと思われる。この切石には小さな白色礫が数多く含まれている。

含まれている礫も、蘚苔類の着生も様々。小松石(安山岩)の石積みに比べると素朴系の石材かも知れない

前画像と同じ石積みの一部を拡大したもの

画面が汚れていて申し訳ないが、野田市関宿の岩舟石が使われた「棒出し」の説明図の一部分。一辺が 60 cm 弱の断面を持つ立方体~ 60 x 60 x 90~120 cm 程度の直方体の切石がが良く使われた。

野田市花輪の野田の最も古い醤油醸造家であった高梨家(季節限定公開施設)の醤油絞り装置の受け台に使われた岩舟石。「綱引螺旋式醤油圧搾機(きりん)」と呼ばれた明治三十年まで使われた装置の木桶部分。
以上

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