先日、銚子市と旭市を歩いた際に採取した「飯岡石」の破片サンプルを、博物館の精密切断機で観察用に切り分け、#1,500の研磨材を使って表面を顕微鏡で観察し易い粗さに調整したものを「実体顕微鏡」で観察してみたのでご紹介します。尚、実体顕微鏡では、含まれる火山ガラスは観察出来なかったので、何れ近い内にもう少し高倍率の顕微鏡を使用して観察してみようと思っています。
この石材は基本的には「凝灰岩」だが、産出層準は銚子から旭市に掛けて分布する海成層の「屏風ヶ浦」層に属すので、堆積した火山灰層の中には有孔虫や微小な貝殻や時には海綿骨針等が含まれて石灰質が固結度を高めているらしい。
石灰質と言われる飯岡石に、確認用に希釈した塩酸を一滴落としてやると、最初は気泡が出て来ませんが、数秒たつと小さな泡が出始め段々とその一滴が白く見え始めます。全体から非常に小さな気泡が出ている雰囲気です。
生痕化石、軽石、大形の有孔虫、海綿骨針等を観察してみました。
尚、地質試料の中の「海綿骨針」については例えば、産総研の GSJ 地質ニュースの下記などを参照下さい。結構細長いものの様です。
産総研の地質ニュース,第5巻,8月号,233-234頁。「千葉市の沖積層内湾堆積物から発見された海綿動物化石」 小松原純子 ・宮地良典・伊勢優史
https://www.gsj.jp/data/gcn/gsj_cn_vol5.no8.pdf
最初の画像は、採取したサンプルの状況。これは前回紹介済。勿論、小さい方の断片。大きなものを持ち帰っても無駄⇒邪魔になるので、観察に必用な最小限度のサンプルを採取する。
切断状況。スケールは最近使用し始めた一本二千円の木製スケール。目盛は「印字」では無くレーザーで細い溝を掘っている。
ごく薄く希釈して安全性を確保した塩酸をサンプル表面に滴下すると、最初は泡が出ないが、時間の経過と共にゆっくりと微細な気泡の発泡量が増えて来て全体に広がる。
その泡の状態を実体顕微鏡で観察したもの。試料とレンズの距離が離れているので、希塩酸の消泡時の飛沫が飛んでもしっかりと安全。
生痕化石。これで大まかな直径(横方向)は4.5 mm 程度。但し、生痕化石は画面に直角では無い事が試料の両面を目視すると判るので、本来は 3.5 mm 程度の円型なのでしょう。
軽石も当然の如く含まれています。背景に在る円弧状のものが、火山ガラスかどうかは着色して反射光で観察してみようと思っています。以前、博物館で作成した薄片では見事に有孔虫が濃集していました。
大形有孔虫の断面。画面の横幅は約 2 mm 程度です。
海綿骨針らしい透明な中空の物質。特徴的な根もとの「矢じり」型の部分は見付かりません。塩酸を滴下してもこの中空部には変化が無いので、恐らく間違い無く「海綿骨針」でしょう。画面の横幅は約 2 mm 程度です。
画面の右上に斜めの断面を観察されます。画面の横幅は約 2 mm 程度です。
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