2019年3月6日水曜日

南房総(嶺岡産)蛇紋岩に刻まれた石造物(1/2)

先日の南房総市和田町での石切り場調査で訪ねた石切り場跡等でかなり沢山の蛇紋岩を用いた墓標や供養塔を観察する機会が在りました。手元に2013年に鴨川市教育委員会が開催した蛇紋岩に刻まれた御仏たちの展示会の際に撮影したものが有るので併せて二回に分けてご紹介します。
頭部が欠けてしまい、茶褐色に風化色を呈していますが実は蛇紋岩としては未だ結晶等がハッキリ観察されるフレッシュなものです。単斜輝石や斜方輝石の結晶が表面で光っています。

やや青い色合いが残っているので「蛇紋岩」らしい、と思われるかもしれませんが、風化してしまった蛇紋岩です。嶺岡付近ではやや珍しい存在で、殆ど最初の画像に示したような風化色になります。

元禄九子年(1696)の墓標です。

一般的な姿とは異なる狛犬の一対です。江戸時代後期に地元の石工によって製作されたものと思われます。常識にとらわれない素朴な表現から独特のユーモアとおおらかさが伝わってきます。



倶利伽羅龍王像です。

石祠型の塔身に三尊像を刻んでいますが、像容が別の永禄二年(1559)年の六地蔵(今回画像無)に似ているので、16世紀半ばの造立例として貴重です。

続く

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