2019年1月28日月曜日

秋間石と多胡石を訪ねて:安中市と旧吉井町 (5)

多胡碑の在る公園で植木職の方に多胡石に関する情報が無いかお聞きした処、石切り場の大体の位置や街中で観察出来る多胡石を使った建物や石材屋さんの情報を御教示頂きましたので、石切り場を訪ねる前に、吉井駅近くの「吉井町商工会館」の壁面を観察し、多胡石を扱った事の有るらしい石屋さんを訪ねました。尚、多胡石に関しては「高崎検定講座 多胡石の美と歴史」や「群馬県高崎市吉井南方に分布する中新統牛伏層の地質学的考察」を検索して頂ければ資料が閲覧できます。

「吉井町商工会館」エントランスを飾る「多胡石」です。24mm程度の厚さの板状に切り出し表面を磨いたものですが、風化で少し細かな砂粒サイズの凹凸が出来ています。左右や上下軸で対照に石材を貼り付ける例が多いようです。









この砂岩は地色が少し違いますが、これは別の場所:石材屋さんで観察したものです。含まれる鉱物に少し違いがあるのかもしれません。
また、酸化していない採掘直後は淡青色なのだそうです。

多胡石の用途は、建物などの装飾用以外に、この様に「洗い場」にも使われていた様です。商工会館近くの小さな石置場に在ったものです。。勿論、手仕事の加工でノミ跡が残っています。

石臼が有りましたが、これは多胡石ではありません。恐らく武蔵五日市付近で採掘されていた、白い斜長石の結晶が目立つ凝灰質砂岩の「伊奈石」だと思われます。この石材にそっくりな石材は房総半島の南部。嶺岡にも産出します。五日市から流通して来たものか、この付近に産出地が有るのか興味深い所です。

この石材が一番多く使われたのは、恐らく礎石ではないかと思われますが、その次に多いのがこのような燈籠だろうと思われます。縞模様の少ない所が未だ山中にブロックで保存されていてこれを利用して現在も製作を続けておられる業者さんがありました。私の背より遥かに高い大きなものです。

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