昨日17日の柏地方は冷たい雨の降る日だったが、栃木方面の午後は晴天の予報を信じて鹿沼市まで足を伸ばしてみた。此処は、博物館の地質観察会で玄武岩の露頭と鹿沼土の採掘現場を見に来た事が有るが、付加体の奇妙な地質のある場所。
新栃木で途中下車して、前回見落とした神社とその周辺の鹿沼石の石蔵や岩舟石の石塀を観察後に新鹿沼に到着したのは11時少し過ぎ、午後三時まで12ヶ所の寺社を回った。
その石材に初めて気付いたのは、新鹿沼駅北方の山裾の寺院内に在る秋葉神社の束石。他は鹿沼石とコンクリートに代わって居たので、面白い石だな!程度の感覚だったが、神社境内の六地蔵を見ると同し石材に彫刻されている。その後次々に、神社の亀腹や礎石等に観察され、この付近では比較的大きな今宮神社では江戸時代に築かれた建築の一部の礎石に使われたり、本殿基壇の高い石垣にも使われている。鹿沼では重要な石材であったようだ。
栃木以南では見る事が無く、鹿沼では江戸時代から使われていた石材は何処の産出か?石屋さんに聞いてみたいと思いながら街を歩いたが残念ながら一軒も石屋さんに出合わず仕舞い。さてどう調べるか?新しい建築には見られないので既に忘れられた存在なのだろうか?、
西鹿沼町光太寺境内の秋葉神社礎石に使われていた石材
光太寺境内の六地蔵。これも同じ石材で、やや風化に拠り剥離・脱落が見られる。
法衣の裾の辺りの凝灰岩の様子。添付のスケールは 17 cm
礫を拡大してみるとやや発泡度の低い軽石らしい。四角い空洞もあるので気泡と云うより何らかの結晶や岩片の脱落跡かもしれない。
礫の表面が剥がれた場所では、軽石は既に緑泥石か或いは緑簾石が生じている様で、見た目とは異なる緑色凝灰岩だと判明。
お地蔵様の一つの顔の部分が風化で脱落して内部の石材が見えているものが有ったので、襟の辺りにスケールを置かせて頂いて剥離部の近接撮影。鹿沼石と同じような小岩片も混じる。
薄く剥がれた部分の近接撮影。焦点の合うギリギリの多分レンズ前20mm程度の位置での接写。四角い白い結晶は斜長石だろう位は判る
捕獲岩。泥岩?結晶片岩? 画面の横幅は 100 mm 画面下の目盛は 1mm 単位。
今宮神社本殿基壇に使われたこの石材。今宮神社の現在の本殿は墨書等から延宝九(1681)年の改築。弘化から嘉永(1845-1849)期に建設された唐門の一部未改修の部分にも使われている。
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