今回、鋸南町勝山の本の一部を歩いた訳ですが、この地域は2015年の千葉県立中央博物館の地質観察会を開催した場所でもあり、私自身もその他に何度か歩いていますが、中々、歩き尽くせないでいます。街中の堤ヶ谷石を用いた風景と、房州石の建物をご紹介いします。二つの石材は共に海成の凝灰質堆積岩ですが堆積環境は大きく異なります。また、堤ヶ谷石は隣接する岩井袋の十ヶ所を数える石切り場と埋め立て用に搬出された土砂類の陰に隠れて殆ど情報が得られていない石材です。堤ヶ谷石の使われ方と房州石の製氷工場の石材をご紹介させて頂きます。
鋸南町には漁師町らしく幾つかの神社が存在しますが、この古幡神社は少し変わった神社でこんな細い階段を登って行きますが、階段は地山をそのまま削っただけのもので、しかも、最初の鳥居とは別に、更に鎖場の細い階段を登ると第二の鳥居が在るという標高 25 m 程の神社ですが、山頂近くには洞窟が在り、これがこの丘の右手に繋がっています。施錠されているので出入りが出来ないのですが、ここからも参拝出来る仕組みです。荒れた日に沖の状態を確認するには程よい見張り場所だったかもしれません。
神社の名前は「古幡神社」と呼ばれているのですが、最初の鳥居の奥に祀られているのは「古峰神社」です。階段は摩耗と風化でバランスの悪い老人には心臓が痛くなりそうなので、右手の鎖場は遠慮しました。
堤ヶ谷石は、漁師町の家屋の礎石や石垣に普通に使われています。地産地消の石材の典型です。
路傍の仏様も堤ヶ谷石が使われています。
失礼して仏様の脇腹の辺りのお肌をチョイト拝見。生痕化石らしいものも観察出来る細粒の砂質の凝灰岩です。
これも堤ヶ谷石を用いた路傍の六地蔵様です。信仰を集めて綺麗に花が飾られています。
路地が狭いので全体を写す事が出来ないのが残念ですが、大正十年(1921)に建設された製氷工場の壁は房州石です。間もなく100年を迎えますね。
使われている房州石も勿論凝灰質で採掘の方法にもよりますが、この様に斜めの模様が特徴で、構成する粒子は細かなものから粗い礫サイズまであります。左手にスケールがあります。
石壁の比較的素材の状態が良く観察出来る部分を一部を写してみました。
前の画像の一部を拡大したものです。小さなピンク色は全て凝灰質の塊です。
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