2018年6月4日月曜日

下田市恵比須島の風景 (2) 石切り場の風景

「石切り場」と云うと、房総半島の鋸山の垂直な壁を思い浮かべて下さる方々は多いと思いますが、この恵比須島(恵比寿ではありません)の石切り場は期待を裏切ります。
画像①:は伊豆諸島も眺められる「ブラタモリ」でも見る事が出来た美しい風景ですが、この中にも実は石切り場の風景が隠れています。

画像②:遠くに神子元島が見えますが、前の画像より少し手前を広く写してみました。この画像ならお判り頂けますよね?

画像③:もう少し崖よりを見ると波打ち際よりは石切りによって水溜りになってしまった、直線で仕切られたものが見えます。この頃、この場所では、崖を垂直に切り下す様な
採掘対象の砂岩は存在しなかった、あるいは、その部分は切り尽くしたので、だんだん汀まで四角く切り込んでこれを起して採掘する方法でした。

潮の満ち干によって採掘出来る場所が変わったのですね。④は少し見る位置を変えたものです。やや高い部分にも石切りの跡が残っています。⑤:近付くとこんな雰囲気です。
奈良の法隆寺の金堂や五重の塔の「基壇」には、二上山で採掘された凝灰岩が使われていますが、その採掘跡も水中では有りませんがこの様に周りを記って剥ぎ取りを行っています。房総半島の鋸山でも、山麓の小規模の採掘跡にも、同様な石切り場や時には「土丹」の採掘跡が在ります。

画像⑥:は恐らくタモリさんが(一応、同郷だし、同年齢なので、やはり「さん」を付けます)ご覧になって喜んでおられた場所の近くの露頭です。

画像⑦は砂岩の風化した表面を切り取った画像です。

画像⑧は同じ縮尺になる様に、砂岩の比較的風化が進んでいない場所を切り取ったものです。

と云っても実は二つの画像は同じ石材の直ぐ傍の画像です。
⑨の画像を見て頂いてハンマーの直ぐ上をトリミングしたのが画像⑦.表面が剥がれた部分をトリミングしたのが、図⑧です。

風化に拠り、基質の部分が少し剥がれて、砂礫が表面に浮き出したものと、砂礫がほんの少し顔を出しただけだと、こんなに雰囲気が変わるので、
都市部における石材の観察には、想像力が豊かである事が要求されます。

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