調査はこれからも息長く続ける予定だが、取敢えず「飯岡石」について少し紹介します。銚子半島から九十九里海岸までの間は屏風浦と云う断崖が続いている。
幾重にも様々な色合いの地層が堆積しているが、この中には当然の事ながら巨大噴火による火山灰層が含まれている。例えば下図は“KG1C”と云う広域テフラで、殆どが細粒の火山ガラスだ。
地層には、透水性の良いものと、不透水性の地層とが有り、中には石灰質の豊富な層も含まれない層も在る。本来なら石灰質が含まれないのに、透水性が良い為に地下水が通過する時に、この火山ガラスに石灰質が沈着して硬い地層を造ってしまったと考えて下さい。
崖は浸食され上に重なる地層は崩壊し崖は後退を続けるが、硬い部分はその地層の下が削られても耐力が持つ間は上の地層を指示し続け、有る大きさで結局崩壊し、硬い地層も海中を漂い、衝突を繰り返し円摩され、再び海流の下流側の飯岡の海岸に打ち上げられる。
此処で採取されたのが下に示す断面形状の板状の石材になる。
採取された石材は例えば飯岡の玉前神社の境内の石垣に使われたり、町場の石塀となって現在も残っている。
飯岡石については、館蔵標本の画像資料を公開しています。産状や顕微鏡画像等も含まれているので参照下さい。千葉県立中央博物館>デジタルミュージアム>房総ジオツアー>岩石標本>犬吠層群>の岩石>飯岡石
http://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/special/geotour/choshi/Litho/hyohon14.html
上記のサイトでは有孔虫が含まれた画像が紹介されているが、小型の貝化石なども含まれていて顕微鏡で観察すると面白い
下の画像は飯岡石の小片を実体顕微鏡で観察し、コリメート撮影したもの。これを見れば元は火山ガラスだという事が判る。
板碑としては二つの板碑が非常に良く似通った共通点を持つ事が判明した。あともう少し、同じ性状の石材を使った板碑をもう数例探し出す事と、出来れば飯岡の街中の飯岡石から、板碑に観たのと同じスコリアを検出する作業が残っている。何年かかる事やら・・・取敢えず、銚子方面の板碑を徹底的に探す事から始めよう!
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