稲田駅の西側にかって稲田石を鉄道輸送する為に使われた専用ホームの石垣が、踏切の西側に現存しています。但し、ここは私有地なので注意が必要です。その踏切を渡った場所に歴史を感ずる二階建ての民家が有り、その石塀に此の石材が使われています。
石塀の最上部は、これは凝灰岩質の石材の宿命の様なものでやや風化して内部に含まれて居る礫が見えています。石塀の表面からは判り難いのですが、用いられている石材が、大谷石よりも遥かに多く礫を伴っている可能性を示しています。火山礫は、大谷石の軽石とは全く別物でかなり硬質で、たまに大谷石にも有る流紋岩質の礫とは異なり、色合いから安山岩か玄武岩質と思われます。勿論、色だけで決めつけるのは科学的ではありません。黒い流紋岩が無い訳ではありません。また、大谷石でも宇都宮市下田原町の山田川沿いには火山礫を多く含む凝灰岩が分布しています。但し、建築用石材として採用されるか、否かは別の問題です。
塀の上面に、たまたま、含まれて居る礫岩がその破断面を見せていて、この礫が急冷を受けてガラス質である事を示しています。岩片は浮いて居るようでしっかり基質に固着しています。
その石材の拡大図です。内部は小さなクラックで囲まれています。
尚、この石塀の向いは磯蔵酒造です。この造り酒屋さんの蔵も凝灰岩で築かれています。蔵の建築年代は大正期以前に遡る可能性がありますが、石材については、大谷でも、茂木でも無い様に考えていますので、もう少し検証してからご案内します。
0 件のコメント:
コメントを投稿