2020年8月3日月曜日

岩石と地層の表情:091;下田市内:敷根の白い凝灰質の石丁場

この日は下田市の敷根地区で四か所の石切場跡をご案内頂いたのですが、この二ヵ所目も、個人のお宅の庭先の崖の上を通ります。「おや、お久しぶり!」「また、庭先を失礼します」と言ったご挨拶をしながら通過させて頂きました。
この石切場では淡い縞模様が観察されますが、白い凝灰質が主要部分で灰色の凝灰質がその間に入り込んでいる雰囲気です。但し、途中で山が変わっており、凝灰質は成層したものでは無く大きなものは拳サイズの、宮城の「野蒜石」で観察したものに少し似ています。
壁際が意外と凸凹です。天井を見ると左手から右奥に向って採掘を行っているのでこの側壁は平らでも良いと思われるのですが、我々の目には見えない小さなクラックが存在するのかもしれません。
高い所に大きな亀裂が観察されます。右上方向が明るいので地上に続いているのだと思いますが地上に近付けばどうしても亀裂が多くなり採掘効率が悪くなるのは避けられない事です。
右手の明かり部分を彫り終わってから横方向に掘り始めた事が判ります。ここでも壁際が凹凸だらけです。
この石切場で採れる石材には二種類がありました。一つはこの様に白を基調に淡い灰色の刷毛目のような模様が入ったもので、前回ご紹介した石切場の石材と白黒が入れ替わった雰囲気の石材です。真ん中のやや赤い色は模様が淡過ぎて焦点が旨く合わないので、懐中電灯で照らして部分的に明るくして焦点を調整したものを撮影時に撮影時に消すタイミングを失したものです。成型用の鎌の柄は大体 30 cm です。凝灰質は堆積後に変形を受けて切れ切れになっています。
もう一つの石材は、同じく白いのですが凝灰質が静かに堆積したのではなく塊状になっています。宮城の野蒜石の白い方に似ている雰囲気です。
両方の石材が接している部分が、崩落した大きな岩片にありました。ちょうど真ん中あたりで少し礫が集まった部分で二つの層がぶつかっています。
切羽での亀裂がかなり多かった事がこの画像からも判ります。画面左手は亀裂が多いので掘り残した為に出っ張ってきてしまったものです。
亀裂が少なかった部分もあった様で、この画像の右手の壁は比較的平坦ですね。明かり部分に大きな落石らしいものが有り、私の同行者がいます。
最初の画像の壁面を真正面から捉えた画像です。亀裂が沢山有りましたので、白色で少しトレースして見ました。多いですね。これでは下手に落盤防止の柱を残しても有効に作用してくれるか判りません。
前の図の一部を拡大したものです。左手から採掘を始めて右手へ掘り進めています。側壁と天井が接する部分だけ盾に筋が入っていますが、これが大体90cm前後の高さですが、地下空間を横に掘り進む場合に一番苦労する場所です。天井につかえるので、ツルハシを大きく振りかぶる事が出来ないのです。
石切職人が苦労しながらこの部分を彫ったのだろうなと、垣根掘りの跡を観察するのが好きです。

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