年初から新型コロナの感染拡大が喧伝され、例年になく行動が制限されたが、当初の千葉県内は比較的感染数が少なかったものの、徐々に増え始め年末には自分のかかりつけ病院にクラスターが発生するまでになってしまった。年初はやや神経質な程に、怯えながらも行動範囲を抑えていたが、徐々にこれは短期間に終息するものではない事に気付き始めてから、博物館を介した仲間達とは行動を共にする機会は無いものの、自分のライフワークである、歴史的な凝灰岩質石材の観察・調査は細心の注意を払いながらも再開する事にした。九州から出て来て55年、終の棲家と決めた千葉県を徹底的に歩き回ってみたいと云う気持ちも強いので、無駄を省くために事前調査を入念に行い、可能性が疑われる場所は細大漏らさず歩いて調査はするものの、可能性に乏しいと判断した場所は、迷う事無く調査対象から外した。
この為、酷く調査場所間の距離が延びる事態は発生したが、逆に効率が上がり、年間のフィールドワークに充てた日数は、均すと5日に1日程度の割合で74日と少なかったが、凝灰岩質石材を観察する機会は増え、345ヵ所での観察をこなし、2013年以来の調査件数が1,400ヵ所を越えた。特に千葉県内は、235ヵ所で凝灰岩質石材に新しく出会う事が出来た。
添付の地図は、今年のフィールドワークで、凝灰岩質石材に出会う事が出来た場所と千葉県内の主要部を表示したものを地理院地図の白地図にプロットしたものだ。そうそう、まだ今一つデータの書式が時々駄々を捏ねるが、今年は地理院地図に、調査ヵ所を簡単にプロットする事が出来るようになった事も嬉しい。
この一年間に,フィールドで歴史的な凝灰岩質石材の使用状況を確認出来た場所を国土地理院の地形図にプロットしたものです。確率は4割程度なので、実際に訪ねた場所はこの2.5倍くらいになります。千葉県内の私が比較的動き易い地域のみを抽出したもの。前の画像をそのまま拡大縮小できますので・・・気に入った凝灰岩質石材の画像を少し並べてみます。どんな石材かお判りいただけるでしょうか?伊豆の凝灰岩です。
これも伊豆の凝灰岩ですが、火山岩塊の隙間に細粒の緑色凝灰質が詰まっています。大部分は、火山岩礫が風化していますが、一部に新鮮な美しい岩塊が混じる事が有ります。
鹿児島の山川石です。これは島津公の墓石で、加工時は比較的細工をしやすいのですが、時間の経過とともに表面が硬く風化の影響を受けにくい良質な石材です。
伊豆半島でも南部の須崎付近を中心に採掘された石材で、礎石等によく使われます。石灰質の砂岩で凝灰質も混じっています。恐らく、伊豆から一番沢山運ばれた石材ではないかと思っています。但し、礎石等に使われるので、目立たない事が多い残念な石材です。二番目に多いだろうと思われる「みどり」と云う石材で細工物に多く使われます。粒子の粗いっ分が、時に弱い事が有り、風化が進む事が有りますが、屋内に使われると寿命が素晴らしく伸びます。採掘されたばかりのものは濃緑色です。
小室石と云う石灰質の差礫岩です。丈夫なので、修善寺付近では鳥居などにも使われています。顕微鏡で見るとこの様に美しい岩片が含まれて、石灰質で囲まれています。