我孫子市中峠の一角に、庚申塔や十三夜塔等が八基並んでいる場所がある。
右側の三基は見慣れた伊豆の凝灰岩に刻まれ、その左手の四基は、多少石質の違いがあるが、新小松石等の箱根溶岩と思われるのだが、
左端の文字塔の「庚申塔」だけが、珍しく白色の凝灰岩が使われている。
右端は細粒の砂の周りを細粒の緑色凝灰岩を埋めているタイプで、年号は享和三(1803)年:癸亥:みずのとい
二番目は表面はかなりきれいな状態なのだが角に割れが生じ、砂と小径礫の粒子が、離れてみるとラミナを構成しているのが判る。文化八(1811)年:辛未:かのとひつじ
三番目は表面がごっそりはがれてしまって年号も読めないが、この三基は疑いも無く伊豆の凝灰質砂岩の石材。下田から河津附近の産出。クローズアップして表面を見ると粒子の差は在るが、このような構造となる。画面幅は約50 mm.
安山岩製の四基は実の処専門外だが、四基の内左側の二基は頭に蛇がハッキリと居り、比較的珍しい様式らしい(伝聞)左端は、比較的緻密な本小松石に近い石材。他の三基は箱根溶岩であろう。
最左端の塔は、白色の凝灰岩が使われているのだが、これが珍しい。
残念ながら、年号が読めないのだが、白色の凝灰岩は伊豆や塩谷、嵐山、天神山等産地が多い割には使用例が少なくて私も庚申塔での使用例は初見。文字塔下の三猿が何故か別の石材に彫られていて、これは伊豆の凝灰岩の特徴を備えているので、白色部だけ他から持ち込む事も無かろう。と云う、やや消極的理由で白色の凝灰岩も伊豆下田附近の産出物と考えた。
白色部は、何処も大体同じだが肌理が細かい。
丁度今、東金市の五輪塔の石材産地を(候補として群馬県みどり市天神山産が上げられているが)検討中なので、白色凝灰岩には興味をそそられるのだが、五輪塔のものとはかなり岩質が異なる。上の画像は画面幅が約50 mm.
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