2016年2月2日火曜日

石射太郎山の石切場と石材 (2)

石切場は、ガレ場より標高の高い部分に尾根の両側に数多く分布しているが、不用心に歩くと突然がけっぷちに出会って落下の危険が有るので、「探検」気分で歩かれるのはお勧めしない。崖の高さはレーザーで測定してみると殆ど10m以上の高さが有る。落下すると下には石材の破損したものが散乱しているので大怪我をするのは間違いない。更に、今の時期はそれでもマムシの危険は少ないだろうが、凝灰岩系の石切場は湿っていて蛙が居るので、これを狙ってマムシなどが居る事が多い。

ここの岩石には、貝砂が多く含まれている事(貝化石として採集するほど大きなものは殆ど無い)、場所によっては貝殻が溶けてそのパターンが残っている事も多い。また光沢のある泥岩の偽礫が含まれている事、硬い部分は石灰質で希塩酸に反応して炭酸ガスの泡が出る事、層理がはっきりしない(遠くから見ると判るが、壁面で走向・傾斜を測定するのは結構面倒だ)その他・・・・
礫は中央の様に妙に光沢が有る。硬い礫は海岸の打ち寄せる波で磨かれて光沢が出る事が有るが、これは光沢が在り過ぎる。硬いのかと思うと、左の様に簡単に割れてしまう。泥岩偽礫。

貝化石の溶食による「抜け殻」

帰途に、この石材を使用した石垣を観察。やはり貝殻が目立ち、無層理に見えるのが面白い。

採集して来た小岩片の表面。貝殻の抜け殻が見える。砂を囲んでいる白いものは石灰分が多い。
スケールは1mm刻み。木製のスケールは妙に光らないのが嬉しい。

こちらは薄くて名刺サイズの「クラックスケール」を写し込んだもの。刻みは0.5mm。安価で手軽。上の画像のもう少し上の部分を撮影、この貝殻は良く判らない。カメラを三脚で建ててスケールは手持ち。スケールが薄いので被写界深度が撮れなくてもそれなりにスケールを写し込めるのが便利。

この画像の中央部に面白いものが有る、但し、小生は化石に興味と知識が無いので正体は不明。


上の画像は4912x3264ピクセルで撮影したものを、1280x851ピクセルに縮小した画像。画像データは約18分の一に。下の画像は元画像の中心部を横1280ピクセルでトリミングしたもの。ある程度のデジカメが有ればこの程度の「顕微鏡」的機能は十分に果たせる。

持ち帰った岩片の全体像。薄くて硬い。これは裏側。

2016年2月1日月曜日

石射太郎山の石切場と石材 (1)

鋸山や売津等と同じ黒滝層(竹岡層)の石材なので一応「房州石」で括る事に問題は無いだろうが、この石材は非常に硬いのに、搬出が難しく千葉県から外に出る事は無かったようだ。
石射太郎山には、石切場が我々が観察しただけでも十か所を越える。
ここでは石切場の様子と石材の観察画像を御紹介したい。

登山道を登り始めると直ぐにこのガレ場に差し掛かる。これはどうやら石切場から排出されたズリらしい。この上から石切場が始まる。石切場は表層の風化部を避けて上から下に切り下し、採掘場所が地表から外れると狭い搬出路を削りだすので、奥から見るとこのように見える。

壁面の状況

切削痕を拡大すると

この丁場は、搬出路が急傾斜で険しいので、人の背で搬出した為に、半製品まで加工して重量を軽減したと思われる。これは祠の屋根の部分の半製品。

2016年1月30日土曜日

下田市内敷根の石切場 (2/2)

少し、時間が空いてしまいましたが、敷根の石切場の石材の画像を少しご案内します。フラッシュの光量がやや少ないのと、距離間隔が上手く測れないらしくてピンボケが多いのですがご容赦ください。


最初の画像は垣根掘りの画像です。この付近の石切場は房総の場合とは異なり横穴を掘りながら石材を採掘する事が多い様です。表土層が深かったり、表土に近い部分の岩石が風化しているケースが多いので必然的に横穴を掘って深い場所の石材を取る事になります。
トンネルを掘るように、壁面を鶴嘴で適当な断面で採掘するのでは、少し良質な石材が出てきても無駄になるので、横に採掘する場合は、このように縦方向の石材の取り方をします。
天井部分に少し斜めに、丁度跳び箱の様に傾斜をつけて掘り込み、次いで石材の長さに仕上げ代を取り下端を削り込みいます。そして、この図では右手から左手へ縦に溝を掘り、最後は一番奥にくさびを打ってはがすと言う方法です。この方法を何度も繰り返して奥に掘り進み、平らな作業面を作り出したら下に切り下げていきます。

この採掘場は余り天井が高くありません。白いのはカビの類です。
坑内には結構落盤が見られます。落盤はこのように堆積模様に沿って剥がれる雰囲気です。

石材のサンプルに手ごろな成形品が有ったのですが、やや厚みが在り過ぎて重いので、坑内で半分の厚みにしたくて溝を掘っていたのですが、少々力を入れ過ぎてこの崩落物の様に、堆積模様の面でパックリ割れてしまいました。やや暗い部分は、細粒のスコリアのようなもので出来ており、この部分は結合力がやや劣るようです。壁面の美しさがお分かりいただけると思います。




足利の旧今井医院様や土浦の大徳様の石塀は、おそらくこの石切場かこの付近の石切場から切り出されたものではないかと考えています。
下田市内では、下田三丁目の公開されている「澤村邸」の近くにこの石材を表に使っておられる家屋が有ります。


暫くの間、データ整理に忙殺されるので、頻繁に更新をする事が出来ませんが、次回は房総半島の石射太郎山の石切場の状況を御案内したいと考えています。

2016年1月27日水曜日

下田市内敷根の石切場

サンプリングを兼ねて、下田市内敷根の石切場に行ってきました。車を置いた場所から、民家の裏を歩いて土地の方々と挨拶を交わしながら、ほんの500m程の距離を移動するのですが、まともな道は無いのでGPSデータが頼りです。
石切場の一つの入り口です。地層の傾斜があるので、少し斜めに掘り進む為に天井が傾斜しています。
堆積方向にある程度沿って行かなければ、黒い部分の細粒スコリアの部分から剥離し易いので収率が低くなります。

別の石切場に移動する途中に掘り出した未成形の半製品が置かれたままになっていました。

この石切場の石材をサンプリングします。入口は崩れていてかなり狭いです。

中は少し背をこごめる程度で歩けます。開口部から暫くは垣根掘りの痕跡が見えます。

天井は垣根掘りで苦労してやや凸凹です。

壁面は特徴ある斜交層理です。

放置された石材の中に軽石や岩片の農集部があります。


今日はこの辺で、

2016年1月24日日曜日

箱根と丹沢と伊豆

先日、凝灰岩を求めて伊豆を二日間歩きました。先月末の24-26日にも行ったばかりですが、今回は石切場の所有者から許可が出たのでサンプルを頂きながら、他の石切場を歩く事も目的でした。
往路は雪を得て山襞がはっきりと見える丹沢の山塊が美しく見えました。
他に、箱根の二子山付近は車のフロントガラス越なのでややシャープさに欠けます。小島は標高29mの手石島です。最初は小田原のまだ手前から眺めた丹沢と真鶴半島から眺めた丹沢です。
丹沢は火山ではないけれど、まあご勘弁を!











これは箱根の二子山付近です。箱根は全貌をカメラに収めるのが結構大変ですね。

伊東付近を走行中の車窓から手石島を捉えてみました。


2016年1月18日月曜日

松戸市千駄堀の伊豆石製石塀 追補

以前から「房州石」、「伊豆石」、「それ以外の凝灰岩」の三分冊で画像資料集を作成していた。A4一頁に石材単位の画像を3枚置くのが限界なのだが、房州石については25頁、伊豆石については32頁、その他の石材は31頁になっている。当初はカラーコピーで提供していたが費用が持たないので現在はpdfファイルのみの提供にしているが、pdfファイルに変換しても大体1頁辺り0.5MBになるので、ドロップボックスやファイル便等を利用してデータの交換を行うのが精一杯なのです。
最近、新しい画像データベースを造り始めたのを期に、少し大きめの画像を用意しないと、特に伊豆の緑色凝灰岩などでは区別が難しい事に気付いたので、石材の幅の1/2をA4版に配置する事を目指し始めたのだ。pdfで電子ファイルにする場合はまだ何とかなるのだがブログにアップしようとなると、これが意外と厄介で、中々それだけの分解能を持った画像が撮られていないのに気付いた。撮影段階で、石材の真正面に立って一枚単位で撮影しておかなければいけない。でも、これだとかなり細部が判るようになってくる。そんな訳でこのブログでも、これから何時まで続けられるか判らないが時々そんな細部の判る画像を提供しようと思う。取り敢えずは松戸から










2016年1月17日日曜日

松戸市千駄堀の伊豆石製石塀 (5/5)

さて、千駄堀の伊豆石画像はこれで一段落としましょう。





個別の石材一つ一つにも味が有りますが、組み合わせると更に興味深いものもあります。
今回は表面に蘚苔類がほとんど目立たないものだけを御案内しました。